研究課題/領域番号 |
16K06833
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研究機関 | 北九州市立大学 |
研究代表者 |
西浜 章平 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (00347668)
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研究分担者 |
吉塚 和治 北九州市立大学, 国際環境工学部, 教授 (70191567)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 膜分離 |
研究実績の概要 |
本研究では、極性有機溶媒へ適用可能な高性能なナノろ過システムの開発を目的として研究を進めている。平成29年度では、二次成長法を用いて調製したMFI型ゼオライトコーティング膜を用いて、ナノろ過性能の評価を行った。有機溶媒としてはジメチルホルムアミド(DMF)を、対象物質としてはポリエチレングリコール(PEG)を用いた。 (1)コーティングするゼオライトの細孔径と分画分子量の評価 管状のアルミナ支持体にMFI型ゼオライトをコーティングした膜を用いて、DMF中のPEGのナノろ過試験を行った。ナノろ過試験開始直後は、PEGの排除がある程度可能であったが、時間の経過と共に排除特性が低下し、PEGが透過された。また、排除特性は、調製する膜のロットにより異なった。これは、調製した膜のロットにより、膜厚やコーティングされたゼオライトの緻密さにムラが生じたためであると考えられる。膜厚が数十マイクロメートルの緻密なゼオライトコーティング膜により、PEGを効率的に排除できる可能性が示されたことから、再現性よく最適条件の膜を調製できる手法の確立が求められる。 (2)コーティングするゼオライトの親水性・疎水性と極性有機溶媒および溶媒中への水の混合比率と溶質分子の排除特性の評価 DMF、水、およびDMF/水混合溶媒からのPEGのナノろ過試験を行った。DMF溶媒の場合と比較すると水溶媒の場合にPEGの排除率は高くなった。一方で、DMF/水混合溶媒の場合では、純粋なDMF溶媒の場合と同様に、PEGの排除特性の低下が確認された、しかし、(1)に記載のように、PEGの排除に最適な膜調製が未達であることから、平成30年度においても試験を継続する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究実績の概要に記載のように、MFI型ゼオライトコーティング膜の調製において、再現性が低いことに起因し、当初計画と比較して研究の進捗に若干の遅れがある。調製した膜の特性とナノろ過性能を定量的に評価するためにも、再現性よく膜調製を行うことが必須である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、極性有機溶媒へ適用可能な高性能なナノろ過システムの開発を目的としている。平成29年度までに得られた成果に基づき、平成30年度では以下の研究を行う。 1.連続ナノろ過試験による膜分離プロセスの最適化 平成29年度の成果をもとに、MFI型ゼオライトコーティング膜の調製手法を最適化すると共に、溶質分子の排除性能の向上を図る。具体的には、二次成長法における種結晶の塗布方法を改良し、水熱合成時のゼオライトの結晶成長を促進することで、緻密なゼオライトコーティング膜の調製を試みる。加えて、得られたMFI型ゼオライトコーティング膜を用いて連続ナノろ過試験を実施し、膜分離プロセスの最適化を図る。 2.コーティングするゼオライトの親水性・疎水性と極性有機溶媒および溶媒中への水の混合比率と溶質分子の排除特性の評価 上記で調製したゼオライトコーティング膜を用いて、特に溶媒中への水の混合と溶質分子の排除特性を評価し、ナノろ過に対する溶媒の影響を明らかにする。
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