研究代表者らのグループでは近年、新しい乳化重合法の開発に成功している。これは界面活性剤の使用量を従来法に比べ大幅に低減しただけでなく、100nm以下のサイズ域で粒子径分布の狭い単分散なポリマーナノ粒子の合成を可能にする画期的な製造プロセスである。また、合成する単分散ポリマーナノ粒子を用いることで、種々の用途において新規材料の作製が期待できる。 最終年度の本年度は、本手法の適用範囲拡大と合成粒子を用いた粒子配列体の作製を実施した。まず、表面が正電荷を帯びた単分散ポリマーナノ粒子の合成を行った。これまで本手法では表面が負電荷のポリマーナノ粒子のみを行っていたため、正電荷の界面活性剤を用いた新たな試みであった。試行錯誤を繰り返した結果、吸着力が強い正電荷界面活性剤ほど、微量でも小粒径なポリマーナノ粒子が可能であることがわかった。これは負電荷界面活性剤を用いた場合と同様であり、また100 nm以下の単分散ポリマーナノ粒子の合成に成功した。よって、本手法の適用範囲の拡大に成功した。 次に、単分散ポリマーナノ粒子を用いた新規の粒子配列体の作製を行った。プラズモンナノ粒子と混合し、その分散液を基板に展開するだけで容易に2成分粒子配列体を作製できることがわかった。同時に、その積層数を容易に制御できる手法を開発した。この2成分粒子配列体はまた、表面プラズモン共鳴原理を利用して微量の分子を検出できることがわかった。以上より、単分散ポリマーナノ粒子の新たな用途開発に成功した。
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