研究課題/領域番号 |
16K06851
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研究機関 | 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 |
研究代表者 |
岩井 利之 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 主任研究員 (20416291)
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研究分担者 |
伊藤 貴敏 地方独立行政法人大阪産業技術研究所, 森之宮センター, 総括研究員 (60416295)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マイクロリアクター / フロー合成 / フラーレン / メタノフラーレン / 有機薄膜太陽電池 / ヒドラゾン / 硫黄イリド |
研究実績の概要 |
硫黄イリド法によるPCBMのフロー合成検討においては、今年度はLCポンプによる試薬溶液の送液による長時間の連続運転を試みた。具体的には、C60と硫黄イリドの前駆体であるスルホニウム塩のODCB溶液と、有機超強塩基のODCB溶液とを送液し、氷冷したミキサー中で混合、反応させた。送液の管内に酢酸のODCB溶液を添加、中和し反応を停止させる(三液混合法)ことで、反応がそれ以上進行することを防いだ。得られた反応液について、HPLCによる収率算定を行ったところ、1時間余りの送液運転(6.0mL/min)中、PCBMをほぼ一定の収率(63-64%)で得ることに成功した。また、この反応液を一定量取り出し、PCBMの単離精製を行ったところ、その単離収率は60%であり、単位時間当たりのPCBM合成量としてはPCBMのフロー合成法における既知の報告例を大幅に上回る0.79 g/hを達成した。 一方、水系ヒドラゾン法のフロー合成検討については、昨年度までの検討では加熱反応部の容量が小さいことによる反応時間不足のため、PCBMの収率が低く、装置の改良が必要であることがわかっていた。そこで内径2㎜の樹脂製のチューブをコイル状に巻くことでフロー合成の反応器とし、容量を大幅に増加させることで反応時間を確保することとした。光反応部についても同様に内径2㎜の樹脂製のチューブに置き換えることで反応時間の確保を行った。改良後の装置を用いてフロー合成の連続送液実験を行った。得られた反応液について、HPLCによる収率算定を行ったところ、約6時間の送液運転(0.5mL/min)中、PCBMをほぼ一定の収率(36-37%)で得ることに成功した。 PCBM合成における、水系ヒドラゾン法と硫黄イリド法の2種類の合成反応を用いたフロー合成実験系を構築、確立することができたことで、連続送液による大量合成法への展開が期待できる。
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