貴金属担持触媒は酸化・還元反応に優れた活性を示すキーマテリアルであるが,貴金属資源は希少かつ高価であるため,使用量低減と触媒活性向上の両立が求められている.本研究では貴金属触媒の高機能化手法の一つとして,安価な遷移金属との複合化による特性向上を目指した.まず,Pt-FeOx共担持触媒(Pt-FeOx/TiO2)がPt担持触媒(Pt/TiO2)に比べて高いCO酸化活性を示すことを見出した.また,Pt-FeOx/TiO2の触媒特性は前処理条件や反応履歴に大きく依存していることから,FeOxの構造変化が触媒特性に影響を及ぼすことがわかった.また,FeOxのみを担体としたPt担持触媒(Pt/FeOx)を調製し,Pt/FeOxのCO酸化活性とFeOx構造の相関性について検討した.XRD,XAFS測定より,調製したFeOx担体はコランダム型構造のα-Fe2O3であり,Ptはα-Fe2O3担体上に高分散に担持されていることがわかった.Pt/FeOx触媒を調製し,様々な反応条件におけるFeOx担体構造をXRD,XAFSにより追跡し,触媒特性との相関性について検討したところ,200℃でのH2還元処理および200℃でのCO酸化反応により担体構造がα-Fe2O3からγ-Fe2O3に変化しCO酸化活性が向上することが明らかとなった.H2-TPR測定および酸素濃度を切り替えた際のCO酸化特性の変化より,反応性の高い格子酸素を有するγ-Fe2O3に変化することでCO酸化特性が向上したと考えられる.以上のように,Pt-FeOxの相互作用を利用することでPtの触媒酸化性能を制御できることが明らかとなった.
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