研究課題
近年、合成生物学的手法を代謝工学へ応用することで、微生物により生産可能な化合物種が飛躍的に拡大されている。更なる拡張には、補酵素依存酵素の利活用は重要であり、その実現には補酵素の供給と再生経路の導入が必須である。そこで本研究では、多様な化合物の合成に関与する補酵素S-アデノシルメチオニン(SAM)依存酵素の活用を可能とする大腸菌を宿主としたプラットホーム構築を目的とした。SAM依存酵素として、カテコール-O-メチル基転移酵素とフェニルエタノールアミン-N-メチル基転移酵素(PNMT)を用いた。前者についてはプロトカテク酸とドーパミンを、後者についてはノルアドレナリンを基質に、大腸菌粗酵素液を用いたin vitro解析で活性を確認した。この際、反応液が褐色に変色し基質や生産物の酸化が予想された。この変質は今後の定量解析に支障をきたすため、より安定な化合物の利用を検討した。その結果、PNMTはオクトパミンからシネフリンを合成し、それらは安定であった。また、大腸菌はそれらを代謝せず定量解析に適していた。上記酵素は反応副産物であるS-アデノシルホモシステイン(SAH)によって阻害される。また、SAHのホモシステインはSAM合成にリサイクルされる。そこでSAH分解経路について検討した。大腸菌はMtnとLuxSによる分解経路をもつが粗酵素液からは活性を確認できなった。そこでMtnを高発現させた結果、顕著な活性が確認された。Mtn反応産物はLusSによってホモシステインとなるが検出されなかった。続いてMtnとLusSを高発現させたところ、ホモシステイン生成は確認できたが、その反応は非常に遅かった。SAH分解の別経路として、SAHaseが知られており、Gulbenkiania sp.より遺伝子を取得し検討したが、活性型として発現させることが出来なった。
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