研究課題/領域番号 |
16K06868
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
八波 利恵 東京工業大学, 生命理工学院, 准教授 (90334531)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 新規カロテノイド合成 |
研究実績の概要 |
本研究は高度好塩性古細菌Haloarcula japonicaを用いて①本菌が生産するバクテリオロドプシン(BR)を基本骨格とした新規カロテノイド,②自然界における生産量が少ない希少カロテノイド,③BRとは異なる構造をもつ非天然カロテノイド,を大量合成することを目的としている。昨年は,引き続き③BRとは異なる構造をもつ非天然カロテノイドを大量合成することを目的として研究を行った。 BRの共役二重結合数は13である。そこで,より抗酸化活性を持つカロテノイドを合成するために,共役二重結合数が15のテトラデヒドロリコペンを合成することを目指した。このカロテノイドは,BRの前駆体であるリコペンにさらに不飽和化して取得することとした。不飽和化には申請者が見出した新規カロテノイド不飽和化酵素(CrtD)に進化分工学的手法により変異を導入し,用いることとした。一昨年に構築したランダム変異導入法を用い,変異を導入したCrtD遺伝子ライブラリーを取得した。なお,高度好塩性古細菌を宿主とした形質転換効率が極めて低かったため,形質転換法の改善も行った。その結果,多様性を有するライブラリー取得に成功した。さらにライブラリーを解析したところ,リコペン合成の途中で生合成が滞っているクローンを見出した。現在,クローンが生産するカロテノイド分析を試みているとともに,CrtDの変異導入箇所の特定を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ライブラリー作成にあたり,高度好塩性古細菌を宿主とした形質転換効率は,常法では極めて低かったため,コロニーの出現数が少なかった。そこで,形質転換法の改善も行った。また,変異株が生産するカロテノイドは,新規カロテノイドの可能性があり,精製法が確立されてらず,その同定に時間がかかっている。これらの理由により,研究がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
効率が高い形質転換法を新たに開発することができたため,現在はライブラリーを取得できている。また,新規カロテノイドの分析については,研究協力者と連携をとり,推進していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本研究では、種々のカロテノイド合成酵素による多様なカロテノイド合成を目指している。本年度、研究対象としている酵素に変異を導入した変異型酵素について,解析した所,活性発現に重要なアミノ酸が同定できる可能性を見出した。しかし、本結果は初歩的であり、本結果を再現し,精密な解析が必要があった。そのため,当初計画していた変異型酵素精製には至らず,精製のためのカラム購入は行っておらず,次年度使用額が生じた。今年度は,変異型酵素精製に着手するため,カラム購入費に充当する予定である。
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