研究課題
本研究は高度好塩性古細菌Haloarcula japonicaを用いて①本菌が生産するバクテリオロドプシン(BR)を基本骨格とした新規カロテノイド,②自然界における生産量が少ない希少カロテノイド,③BRとは異なる構造をもつ非天然カロテノイド,を大量合成することを目的としている。昨年は,引き続き③BRとは異なる構造をもつ非天然カロテノイドを大量合成することを目的として研究を行った。BRの共役二重結合数は13である。そこで,より抗酸化活性を持つカロテノイドを合成するために,共役二重結合数が15のテトラデヒドロリコペンを合成することを目指した。このカロテノイドは,BRの前駆体であるリコペンにさらに不飽和化して取得することとした。不飽和化には申請者が見出した新規カロテノイド不飽和化酵素(CrtD)に進化分工学的手法により変異を導入し,用いることとした。一昨年に構築したランダム変異導入法を用い,変異を導入したCrtD遺伝子ライブラリーを取得した。なお,高度好塩性古細菌を宿主とした形質転換効率が極めて低かったため,形質転換法の改善も行った。その結果,多様性を有するライブラリー取得に成功した。さらにライブラリーを解析したところ,リコペン合成の途中で生合成が滞っているクローンを見出した。クローンが生産するカロテノイド分析およびクローンが生産する変異型酵素の解析を行った。その解析より,リコペンからの不飽和化反応に重要なCrtDのアミノ酸残基を複数見出すことができた。さらにCrtDの立体構造モデルを構築し,本研究で見出した活性に重要なアミノ酸残基と基質との相互作用を解析したところ,当該箇所のアミノ酸残基の変異と活性の間に明らかな相関が見られることがわかった。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (15件)
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