研究実績の概要 |
本年度は,(A) コメ糠タンパク質の酵素加水分解物から同定したカチオン性ペプチドのリポ多糖(LPS)中和活性と血管新生促進活性を解明すること,また(B)コメ胚乳タンパク質の酵素加水分解物から等電点電気泳動を用いてカチオン性ペプチドを調製し,得られた画分のヒト病原性微生物に対する抗菌活性を明らかにすること,さらに(C)抗菌活性を有する画分からカチオン性ペプチドを同定することを目的として検討した結果,以下の結果が得られた。 1.3種類のカチオン性ペプチドは,いずれもLPS中和活性と血管新生促進活性を示した。 2.コメ胚乳タンパク質のペプシン加水分解物を等電点電気泳動によって分離した後,等電点が異なる20の画分のヒト病原微生物であるPorphyromonas gingivalis(歯周病菌), Streptococcus mutans (う蝕菌) , Propionibacteriu acnes (アクネ菌), およびCandida albicans(日和見感染真菌)に対する抗菌活性を測定した結果,画分18,19,および20から抗菌活性を検出できた。 3.抗菌活性を検出した画分18,19,および20を,それぞれ逆相クロマトグラフィーによって単一のピークを得るまで精製した後, 各ピークに含まれるペプチドをマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/MS)とイネゲノムデータベースを用いて同定した。その結果,高い信頼性を有する5種類のカチオン性ペプチドを見出した。
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