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2017 年度 実施状況報告書

カチオン性コメペプチドの多彩な生理活性と作用機構の解明および健康機能素材への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K06869
研究機関新潟大学

研究代表者

谷口 正之  新潟大学, 自然科学系, 教授 (00163634)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードコメタンパク質 / カチオン性ペプチド / 抗菌活性 / リポ多糖中和活性 / 血管新生促進活性
研究実績の概要

本年度は,(A) コメ糠タンパク質の酵素加水分解物から同定したカチオン性ペプチドのリポ多糖(LPS)中和活性と血管新生促進活性を解明すること,また(B)コメ胚乳タンパク質の酵素加水分解物から等電点電気泳動を用いてカチオン性ペプチドを調製し,得られた画分のヒト病原性微生物に対する抗菌活性を明らかにすること,さらに(C)抗菌活性を有する画分からカチオン性ペプチドを同定することを目的として検討した結果,以下の結果が得られた。
1.3種類のカチオン性ペプチドは,いずれもLPS中和活性と血管新生促進活性を示した。
2.コメ胚乳タンパク質のペプシン加水分解物を等電点電気泳動によって分離した後,等電点が異なる20の画分のヒト病原微生物であるPorphyromonas gingivalis(歯周病菌), Streptococcus mutans (う蝕菌) , Propionibacteriu acnes (アクネ菌), およびCandida albicans(日和見感染真菌)に対する抗菌活性を測定した結果,画分18,19,および20から抗菌活性を検出できた。
3.抗菌活性を検出した画分18,19,および20を,それぞれ逆相クロマトグラフィーによって単一のピークを得るまで精製した後, 各ピークに含まれるペプチドをマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI-TOF/MS)とイネゲノムデータベースを用いて同定した。その結果,高い信頼性を有する5種類のカチオン性ペプチドを見出した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成29年度の研究目的は,1)コメ糠タンパク質酵素加水分解物から同定した3種類のカチオン性ペプチドのリポ多糖中和活性と血管新生促進活性を明らかにすること,2)コメ胚乳タンパク質酵素加水分解物からカチオン性ペプチドを調製すること,3)等電点電気泳動によって分離した各画分のヒト病原微生物に対する抗菌活性を明らかにすること,および4)抗菌活性を有する画分から逆相クロマトグラフィーによってペプチドを精製した後,マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計とイネゲノムデータベースを用いて,カチオン性ペプチドを同定することであった。
本年度の研究において,コメ糠タンパク質酵素加水分解物から同定した3種類のカチオン性ペプチドは,いずれもリポ多糖中和活性と血管新生促進活性を示した。また,コメ胚乳タンパク質を酵素としてペプシンを用いて,pH2,反応時間5時間の条件で加水分解したときに,抗菌活性を有する画分を調製できることが判明した。また,等電点電気泳動を用いて分離した画分18,19,および20から歯周病菌,アクネ菌,および日和見感染真菌に対する抗菌活性を検出できた。さらに,画分18,19,および20に含まれるペプチドを逆相クロマトグラフィーによって精製した後,マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計とイネゲノムデータベースを用いて,ペプチドを同定した結果,高い信頼性を有する5種類のカチオン性ペプチドを見出すことができた。
以上より,研究の29年度の目的は概ね達成できた評価できる。

今後の研究の推進方策

当初の研究の目的に沿って,コメ胚乳タンパク質の酵素加水分解物を出発材料として等電点電気泳動によって調製したカチオン性ペプチドを含む画分から,ペプチドを精製した後,含まれるペプチドをマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計とイネゲノムデータベースを用いて,同定できた。そこで,同定したカチオン性ペプチドを化学合成し,それらがヒト病原微生物に対する抗菌活性を有することを明らかにする。さらに,同定したカチオン性ペプチドについて,抗炎症(リポ多糖中和)活性と創傷治癒(血管新生促進)活性を測定し,複数の生理活性を兼ね備えたカチオン性ペプチドを見出す。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Identification and characterization of multifunctional cationic peptides derived from enzymatic hydrolysates of rice bran protein.2017

    • 著者名/発表者名
      M. Taniguchi, M. Kameda, T. Namae, A. Ochiai, E. Saitoh, and T. Tanaka
    • 雑誌名

      J. Functional Foods

      巻: 34 ページ: 287-296

    • DOI

      10.1016/j.jff.2017.04.046

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cationic peptides from peptic hydrolysates of rice endosperm protein exhibit antimicrobial, LPS-neutralizing, and angiogenic activities.2017

    • 著者名/発表者名
      M. Taniguchi, J. Kawabe, R. Toyoda, T. Namae, A. Ochiai, E. Saitoh, and T. Tanaka
    • 雑誌名

      Peptides

      巻: 97 ページ: 70-78

    • DOI

      org/10.1016/j.peptides.2017.09.019

    • 査読あり
  • [学会発表] 食品タンパク質酵素加水分解物中に含まれるカチオン性抗菌ペプチドの創傷治癒活性とその作用機構2018

    • 著者名/発表者名
      谷口正之, 斉藤寿槻, 生江俊樹, 落合秋人,田中孝明
    • 学会等名
      2018年度日本農芸化学会
  • [学会発表] 食品タンパク質由来抗菌ペプチドの作用機序と多彩な生理活性の解明2017

    • 著者名/発表者名
      谷口 正之, 落合 秋人
    • 学会等名
      2017年度日本生物工学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 培養細胞を用いたコメ糠タンパク質由来抗菌ペプチドの創傷治癒作用とその機構の解明2017

    • 著者名/発表者名
      斉藤 寿槻 , 生江 俊樹, 落合 秋人,田中 孝明,谷口 正之
    • 学会等名
      2017年度日本生物工学会
  • [図書] 抗菌ペプチドの機能解明と技術利用2017

    • 著者名/発表者名
      谷口正之、落合秋人
    • 総ページ数
      239ページのうち18ページ
    • 出版者
      シーエムシー出版
    • ISBN
      978-4-7813-1245-3 C3047

URL: 

公開日: 2018-12-17  

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