研究課題/領域番号 |
16K06871
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
櫻井 明彦 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40283163)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | コルジセピン / 冬虫夏草 / 回転円板型培養器 / Cordyceps militaris |
研究実績の概要 |
冬虫夏草(Cordyceps militaris)が生産する固有成分であるコルジセピン(3’-デオキシアデノシン)は、アデノシンのアナログとして働き、多くのガン細胞に対して抗腫瘍作用を示すことから医薬品などの原料として期待されている。しかし、その生産性は低く工業レベルには達していない。そこで、本研究ではコルジセピンの実用化を目指し、回転円板型培養器を用いて冬虫夏草変異株によるコルジセピンの高効率生産技術を開発することを目的として検討を進めた。具体的には、当該期間には回転円板培養器内部で冬虫夏草を固定化するための円板素材について、マクロ構造と化学構造の検討から検討した。 固定化用円板の素材としてステンレスメッシュを用いた場合には、円板への菌糸体の付着率が低く培養液中に多くの菌糸体が浮遊した。菌糸体は、振盪培養を行った場合に近い形態で増殖したため、ほとんどコルジセピンを生産しなかった。そこで、菌糸体の付着率を向上させるためにステンレスメッシュと各種の繊維の組み合わせを検討した。繊維として不織布を用いた場合には菌糸体の付着率が高く増殖量も高かったが、コルジセピンの生産量は低かった。一方、編物を用いた場合には菌糸体の付着率は高く増殖量は低かったが、コルジセピン生産量は高かった。さらに編物の化学構造とコルジセピン生産性との関係について解析したところ、オレフィン系よりもナイロン系の素材を用いた場合に高いコルジセピン生産性が得られることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに、回転円板型培養器を用いた冬虫夏草によるコルジセピン生産に及ぼす円板素材の影響について検討し、円板素材のマクロ構造と化学構造がコルジセピン生産性を及ぼす影響を明らかにすることができた。具体的には、コルジセピン生産には円板素材のマクロ構造の影響が大きく、ラッセル編みなどの編物構造が適していること、固定化された菌糸体の増殖量とコルジセピン生産性との間には相関関係が見られないことが明らかになった。これらの結果をもとに、コルジセピン生産に適した円板素材を決定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
選定した円板素材を用いて、円板回転速度、培養液量、通気量、酸素濃度などの回転円板型培養器の操作条件をコルジセピン生産に対して最適化していく予定である。また、コルジセピン生産に及ぼすアミノ酸の影響について解析し、培養液のアミノ酸組成の最適化を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
円板固定化用のラッセル編物の製造期間が当初の予定よりも長くなったため、コルジセピン生産性への影響が大きいと予想される素材を優先して試作した。その結果、当該期間で試作した編物の種類が少なくなったため、製作費が予定よりも低くなった。
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次年度使用額の使用計画 |
昨年度の検討によりコルジセピン生産に適した円板素材のマクロ構造と化学構造の基本が明らかになっており、基本となる円板素材を選定している。今年度は選定した基本となる円板素材を最適化するため、マクロ構造の異なる数種類の円板素材を試作する。この予算として使用する。
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