研究課題/領域番号 |
16K06871
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
櫻井 明彦 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (40283163)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | コルジセピン / 冬虫夏草 / 抗腫瘍物質 / 核酸代謝拮抗剤 / 回転円板型培養器 |
研究実績の概要 |
回転円板型培養器を用いた冬虫夏草の培養(コルジセピンの生産)では、冬虫夏草を内部で回転する円板に付着(固定化)させ、ここに培地成分と酸素を供給することが重要である。このため、円板素材(固定化担体)、円板の回転速度、空気中からの酸素供給の影響について検討した。これまでに固定化担体として不織布や織物、多孔質発泡体を検討した結果、ラッセル構造を持つ編物が適していることが明らかになった。ラッセル構造の編物には、ラッセル構造がパイル糸で2層につながったダブルラッセル構造を持つものがある。この場合、通常のラッセル構造とは異なり、表面に突起状に存在するパイル糸が菌体の固定化に影響する可能性が高い。そこで、ラッセル編物のパイル糸の影響について回分培養法を用いて検討したところ、増殖量、コルジセピン生産量ともにパイル糸の有無による有意な違いが見られなかった。このため、培養液の入れ替えによる反復回分培養により再度、影響を検討したが、培養途中で回転円板型培養装置が故障したことにより、影響についての再現性を確認することはできなかった。 次に酸素供給の影響について検討した。円板上に固定化された菌体への酸素供給については円板回転速度と気相酸素濃度、通気量が影響する。円板回転速度を高めると酸素の供給速度は上昇するが、剪断応力が高まり菌体への悪影響がある。そこで、酸素供給量を気相酸素濃度で変化させてコルジセピン生産性への影響を検討した。コルジセピン生産量については、通常の大気中酸素濃度である21%よりも低下すると僅かに低下するが、40%までは大きな変化がなかった。一方、コルジセピン生産速度は40%で最も高くなり、これ以上では急激に低下した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
特注の回転円板型培養器が故障し、これを修理するために長時間が必要だったため、当初の計画通りに実験を進めることができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
回転円板型培養器の修理に長期間を要したため、当初の計画から研究期間を1年間を延長し、円板素材(マクロ構造)の影響についての実験を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
実験装置の故障により当初の計画通りに計画が進まなかったため、助成金が残った。剰余額については、研究期間を1年間延長して当初の計画通りに予算執行する予定である。具体的には、円板素材(マクロ構造)の影響の解析を中心に培養条件の最適化のための実験経費として使用する。
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