研究課題/領域番号 |
16K06873
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
堀内 淳一 京都工芸繊維大学, 分子化学系, 教授 (30301980)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 酵母 / バイオマス / アスタキサンチン / キシリトール |
研究実績の概要 |
リグノセルロース系バイオマスの生物的利用では、バイオマスから得られるグルコース及びキシロースをともに利用し、高付加価値の生産物を得ることが重要である。本申請では、多様な糖資化能を有する赤色酵母Xanthophyllomyces dendrorhousを用い、リグノセルロース系バイオマスを原料とし、キシリトールを培養液中に、アスタキサンチンを細胞内に蓄積させ同時生産するバイオプロセスを開発することを目的とした。まず5種類のX. dendrorhous (JCM 9680・9681・9682・9683・9684・19184)を用いて、その培養特性を比較したところ、いずれの菌株でもキシロース・グルコースを炭素源として速やかに資化することが明らかになった。一方アスタキサンチン及びキシリトールの生産特性は菌株により大きく異なり、その内アスタキサンチン及びキシリトール生産が認められたJCM 9680及び9683を用いて合成培地による回分培養を行ったところアスタキサンチンとキシリトールの同時生産が可能なことが明らかになった。次にバイオマスとしてトウモロコシの穂軸(コーンコブ)を原料として、コーンコブを酸加水分解及び酵素糖化して得られるキシロース・グルコース混合加水分解液を用いて回分培養を行ったところ、合成培地を用いた場合に比べ菌体増殖が促進され3-4mg/Lのアスタキサンチン生産が可能なことが明らかとなった。一方キシリトールは一時的に生産されたもののその後資化され消失した。その原因を検討したところ、加水分解液に含有されるコーンコブ由来の高濃度ミネラル成分がキシロース代謝を促進していると考えられた。今後更にアスタキサンチン生産を大幅に向上させキシリトールの分解抑制を実現するための代謝改変および培養工学的検討を進める。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究はおおむね順調に進捗しており、バイオマスを原料としたアスタキサンチンの効率的生産に関する新規な知見が蓄積している。一方、本菌のキシリトール分解抑制を目指した代謝改変においては、中枢代謝に関わる代謝改変が増殖を大きく阻害する可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
本年度はコーンコブ以外に、有効利用が課題となっている竹資源を原料とした検討を行う予定である。また培養工学検討を更に進め、アスタキサンチン及びキシリトールの生産性向上を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は消耗品のうち高額なpH電極等の交換が少なかったため、次年度使用額が生じた。本年度は昨年度更新しなかった消耗品の交換が発生すると思われるため、計画的に使用する予定である。また学会発表・論文投稿を積極的に行う予定でありそのための経費として利用する。
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