研究課題
研究費により,超音速旅客機の空力―飛行力学連成計算と,最適化技術との統合を行い,離着陸時の空力・推進制御の最適設計を実施した.まずは,非構造格子に基づく数値流体力学(Computational Fluid Dynamics: CFD)を用いて,離着陸時に考えられる空力について,迎角,マッハ数をサンプリングし,対応する空力係数を取得した.運動計算中に,時間ステップごとに与えられる航空機の速度,迎角に対して,このサンプル点から最尤推定を行い,空力の項に反映させることで,高速な空力―飛行力学連成計算を実施することができ,大域的最適化法への適合性を高めた.フラップとエレベータ舵角,推力については,運動計算で反映することし,これらを設計変数として定義し,時系列的な評価を行うこととした.構築した空力-飛行力学連成評価は,ひとケース1分程度で済むため,進化計算などの大域的最適化を用い,実用的な期間で解を求めることができる.本研究では,フラップ角は固定とし,1秒間を5セグメントに分け,エレベータと推力による制御を入力として,超音速旅客機着陸経路のコスト関数最小化,最大加速度の最小化をConstrained NSGA-IIを用いて解いた.解は大域解として求められ,ふたつの目的関数には相反する関係があることなどが分かった.ここまでに構築した設計システムに,運動計算においてマイクロバーストの評価を加えることで,予期しない突風に対する特徴の把握を行った.設計の結果,ふたつの目的関数間の相反関係は,マイクロバーストを考慮しない時と同程度であること,コスト関数を最小化するために機体の迎角変化がマイクロバーストを考慮しない時と比べて大きくなることなどが理解された.今後は,前進翼など多様なコンセプトへの適用も目指す.
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The ACM International Conference Proceeding Series (ICPS), Association of Computing Machinery, NY, USA
巻: 0 ページ: 19-24
10.1145/3325773.3325789