研究課題
本年度は、衝撃波背後の熱化学的非平衡過程を解明するために極短時間連続吸収分光法の適用を試みた。吸収スペクトルの計測システムに関しては、昨年度実施した発光分光法のものをそのまま用いた。また吸収分光法の光源としてキセノンフラッシュランプを観測部の反対側に設置した。本計測システムを用いて、発光分光計測と同じ実験条件で計測を行った。250~850nmの幅広い波長範囲において計測を実施した。その結果、可視領域と近赤外領域においてはほとんど吸収を得ることができなかったが、近紫外領域に関しては吸収スペクトルを取得することができた。しかしながら、S/N比の高いスペクトルではないために吸収量が十分ではないと考えられる。そこで現在、十分な吸収量を確保するための光学計測系の改良及び十分な吸収量が可能な波長領域の検討を行っている。また昨年度と異なる実験条件において、紫外領域のN2(2+)と近赤外領域のN2(1+)の発光分光計測を実施して、回転温度と振動温度の空間分布特性を取得した。その結果N2(1+)から評価したB準位の回転温度と振動温度の衝撃波背後での熱的緩和過程は、パークの2温度モデルによる数値解析結果とほぼ一致しており、一方でN2(2+)から評価したC準位の回転温度と振動温度は、数値解析結果より著しく低くなる傾向にあることが分かった。この原因としては、電子準位が高くなるほど、回転モードと振動モードの量子数が高い状態から解離が生じて数密度分布はボルツマン分布から大きくずれるためであると考えらえる。よって、ボルツマン分布を仮定した今回の温度評価では、見かけ以上低い温度となる。以上から本研究により解離は、高いエネルギー準位から選択的に生じることが明らかになった。
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AIP Conference Proceedings, 31st International Symposium on Rarefied Gas dynamics
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