研究実績の概要 |
本研究は、宇宙飛行士や衛星を、宇宙放射線から守るための磁気シールドを、プラズマ噴射によるリングカレント形成によって強化させる手法を実験によって実証する。平成30年度は、200[MeV]に相当するエネルギーの宇宙線に対するシールド生成条件をさらに拡張し、宇宙放射線(0.5~320[MeV])に対し磁気シールドによる防御手法について、リングカレントを用いた場合の検討を行った。宇宙機を防御する目的で、磁気シールドを形成した場合、コイル(半径2m、電流:127[A])とリングカレント(半径:10[m],電流:200[A]):磁気モーメント50倍で320MeVの宇宙線を9割減できることが分かった。この結果を再現するため、JAXA宇宙科学研究所の共同利用施設である先進プラズマチャンバーを用い、実験による実証を行った。実験は、宇宙放射線を模擬するプラズマ源に対し、磁気シールドを模擬するコイルを設置し、磁気シールドON,OFF時のシールド(コイル内部)に侵入するプラズマの量を数密度を測定するダブルプローブ法を用いて測定し、シールドの効果を確認することに成功した。また、シールド生成用のコイル近傍に、新たに開発したLaB6(六ホウカランタン)を熱陰極としたプラズマ源を設置し、低電力かつ高密度のプラズマの生成に成功した。磁気シールドを作動させた際にリングカレント構造がコイル周辺に生成され、その撮像に成功し、シールド中にリングカレント構造を生成することができることを確認した。それらの結果は、宇宙環境シンポジウム等の学会で発表を行った。
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