研究課題/領域番号 |
16K06914
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
畔津 昭彦 東海大学, 工学部, 教授 (80184175)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 舶用機関 / ディーゼル燃焼 / 噴霧燃焼 / 火炎温度 / すす |
研究実績の概要 |
予混合圧縮着火燃焼とその後の低酸素濃度雰囲気を利用した噴霧燃焼を組み合わせた2段階燃焼方式を,舶用ディーゼル機関の低環境負荷燃焼法として実現させるために有用な基礎データを収集することを目的として実験的検討を進めた. 本研究では系統的な検討を行うために,エンジンのシリンダ内と同等な雰囲気条件を模擬した定容燃焼容器の場において, 雰囲気組成,雰囲気温度・圧力,噴射条件などの影響を検討する計画である.本年度は第1年度として,実験システムの改良を進めると共に,現有の装置を用いて高温・高圧場での噴霧燃焼を対象として,雰囲気組成が着火・燃焼特性に及ぼす影響を検討した.燃料としては基準燃料として軽油を使用し,可視化画像から二色法を用いて火炎温度,火炎中のすす量の検討を進めた. また,現有の可視化燃焼容器の他に,熱発生率を解析・検討できる小型の燃焼容器も整備し,その立ち上げを行った.安定した雰囲気条件を設定できること,また可視化と同時に熱発生率が計測できるなど,その有用性を確認した.燃焼室全体をカバーできる可視化ガラス窓を装着することにより火炎全体を撮影し,前記と同様な2色法により火炎の温度とすす量の定量化が可能になった.これにより,燃焼の進行と,火炎中のすす生成酸化に,時間のずれが生じていることが明らかになり,特に雰囲気酸素濃度の低下,噴射圧力の低下,雰囲気密度の低下に伴い,熱発生率に対してすすの生成酸化が遅れることを明らかにした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
既存の燃焼容器を用いた実験的研究は十分順調に進み,有用な基礎データが計画以上に得られた.一方,新規の小型燃焼容器の立ち上げには若干遅れが生じた.予想以上に熱負荷が高くなり,筒内圧測定に従来のセンサーが使えなかったためである.これを耐熱型に交換し,順調に実験が行えるようになったが,このために実験の進行状況は若干遅れている.これらを総合して,概ね順調な進行状況と判断した.
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今後の研究の推進方策 |
実験システムの整備が概ね完了し,順調な実験が行えるようになっている.継続的に基準燃料の実験を進めた後に,燃料のセタン価を変化させた実験を開始する予定である.また第3年度には燃料を変更した実験を継続して行い,成果を取りまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
小型燃焼容器専用に燃料加圧用の油圧シリンダ(価格:約35万円)を発注していたが,メーカーの生産の遅れにより入荷が年度内に間に合わなかったため,予想外に高額の次年度使用額となった.
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次年度使用額の使用計画 |
現在は油圧シリンダを二つの燃焼容器で交互利用している状態で,実験遂行にある程度支障が生じている.新規の油圧シリンダは5月上旬には納品が予定されており,この代金として使用する予定である.
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