研究課題/領域番号 |
16K06916
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研究機関 | 徳山工業高等専門学校 |
研究代表者 |
浦上 美佐子 徳山工業高等専門学校, 情報電子工学科, 教授 (30280457)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 海上ITS / G空間情報 / 安全安心システム / 運航実績評価 / 災害時情報支援 / 小型船舶 |
研究実績の概要 |
本研究は,災害時に情報の空白地帯として問題視されている離島や沿岸域に多く存在する小型船舶操縦者の情報孤立を防ぐことに主眼を置き,免許不要な簡易AISを海難防止向け位置情報把握以外の利用方法として,簡易AISで取得できる小型船舶の位置情報とG空間情報に紐づけされた情報に付加価値を付け地図化し,被災海域特定や支援要請情報につなげるシステム機能を提案することを目的としている. 平成28年度に引き続き,小型船舶に設置した簡易AIS局と周辺海域に存在するAIS局の通信モデル化を行った.同時にAIS受信局から得られる巨大な蓄積情報を用いて支援要請情報につながるシステムの設計と機能試作を行なった.その際,被災地特定を想定したAIS記録データの精度を保持するためには,簡易AIS局のどのような運航状況でも一定の送受信間隔である特徴を考慮した補間機能の検討をしなくてはならなかった.加えて,小型船舶の場合は特に沿岸域の地形に強く影響をうけることが明らかになったため,これらの地形対応の必要性についても言及することができた.そして,本研究の平時利用としてのAIS普及を目指したAIS記録データ処理ツールを試作,評価,そして,運用段階へと発展させることができた. これらの結果をもとに,平成30年においては,AIS受信局から得られる膨大な蓄積情報を被災地特定や支援要請情報に繋がるシステムの機能を試作段階から発展させ,練習船や実習船を用いた実証実験を行い,評価を行う.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目として,小型船舶に設置した簡易AIS局と周辺海域に存在するAIS局の通信モデル化を行った.同時にAIS受信局から得られる巨大な蓄積情報を用いて支援要請情報につながるシステムの設計と機能試作を行うことができた.その際,被災地特定を想定したAIS記録データの精度を保持するためには,当初考えていた簡易AISの送受信間隔を考慮するだけではなく,小型船舶の場合は特に沿岸域の地形に強く影響をうけることが明らかになった.この理由は,小型船舶の船体が小さく,簡易AISの送受信のためのアンテナ高が低いこと,小型船舶は沿岸域を航行するため,沿岸の地形に影響を受けやすいこと等が挙げられた.この点については,次年度に行う社会実験の実施に向けて,影響を受けやすい条件を定量的に示し,システム内で対応できる機能を検討する計画を立て,実施予定である. 次に,非常時利用するためには,平時利用ができるAIS普及を目指すことが重要であるため,昨年度開発した平時利用のためのAIS記録データ処理ツールを試作から運用段階へと発展させることができた.非常時利用への発展は,次年度に行う計画を立て,実施予定である。
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今後の研究の推進方策 |
実習船に簡易AISを設置し,AIS受信局で簡易AIS情報を継続的に取得し,簡易AIS局も含むAIS局,陸上局の通信モデルを作成し,簡易AIS局の送受信間隔を補間する方法と粒度の決定方法の機能開発について行ったが,小型船舶の場合は特に沿岸域の地形に強く影響をうけることが明らかになった.この点については,社会実験の実施に向けて,影響を受けやすい条件を定量的に示し,システム内で対応できる機能を検討する計画を立て,開発し,社会実験を実施する.そして,大島商船高専の練習船乗組員,定期船の船長,漁業関係者,学生に利用してもらい,実利用について検証する.
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)最終年度に計画をしている社会実験に向けて,評価協力船への簡易AIS設置に向けた準備は行ってきたが,さらに必要な消耗品購入や工事費,社会実験で必要な物品購入等を次年度に変更した. このような理由から,使用額が当初よりも少なくなっている. (使用計画) 理由に示した通り,次年度に評価協力船への簡易AIS設置に向けた消耗品購入や工事費,社会実験で必要な物品購入を行う予定である.
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