研究課題/領域番号 |
16K06919
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研究機関 | 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所 |
研究代表者 |
大橋 訓英 国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所, その他部局等, 研究員 (10462871)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 数値流体力学 / モード法 / 流体構造連成 |
研究実績の概要 |
船体を梁とみなした構造応答モデルを開発し、船体形状の弾性変形を重合格子対応ソルバーに格子変形法を用いてカップリングさせ、構造応答を考慮できる数値計算手法を開発した。構造応答モデルにはモード法を適用し、船体の構造応答の主成分である2節と3節のモードについて、各モードの剛性に基づく方程式を解くことにより変位の時間成分を導出し、弾性変形の変位量を求めた。船体の弾性変形については格子変形と移動格子法の組み合わせにより保存則を満たした手法を適用し、各時刻の流場の収束計算のサブイタレーションの際に、構造応答も更新する双方向カップリング手法を採用し、リアルタイムに構造応答を計算できる手法を開発した。計算対象をコンテナ船型とし、向波の規則浪中での計算に適用した。規則波は構造強度の検討に応じた極限海象の条件とした。入射波と船体運動、各モードの時間振幅の時刻歴から、各モードの時間振幅が固有のモードで変動するとともに、2節のモードの振幅が支配的であることを示した。弾性変形有無でのの船尾付近の流速分布の違いや船体運動に弾性変形が与える影響を確認した。さらに船首付近の静止水面上で、規則浪中では水中となる位置の圧力の時間履歴を計測結果と比較した。入射波と船体運動に伴う衝撃圧を精度良く推定できることを確認するとともに、弾性変形有無での比較も行い、水面突入後の2回目の圧力が上昇する傾向を弾性変形により捉えることができることを示した。さらに、圧力の時間履歴と船首付近の自由表面の可視化図との関係から、衝撃圧が生じる状態について詳細な解析を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
モード法に基づく弾性変形と重合格子対応ソルバーを強連成でカップリングし、予定通りに数値シミュレーション手法を開発した。実験結果との比較等から計算手法の検証を行うとともに、弾性変形が船体運動、船尾流場、船首圧力に与える影響について、自由表面の可視化図等から考察を加えた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は研究計画に基づき、主機出力の変動と構造応答を同時に解きながら、相互干渉を含めた船舶の複雑挙動をシミュレーションできる手法を完成させる。時間精度を有する一貫した計算手法により、主機出力変動-構造応答-粘性流場の相互干渉を解析し、干渉の要素抽出により主機・構造応答・船体運動から粘性流場の変化までに至る複雑挙動のメカニズム解明に取り組む。
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次年度使用額が生じた理由 |
計算ノードの購入において別予算でも導入できたことや、旅費予定より低くおさえて効率的に使用できたことで次年度使用額が生じた。国際学会等での発表を予定しており、その旅費に使用する。
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