研究課題/領域番号 |
16K06928
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
笹岡 孝司 九州大学, 工学研究院, 准教授 (20444862)
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研究分担者 |
島田 英樹 九州大学, 工学研究院, 教授 (70253490)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2019-03-31
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キーワード | き裂の発生・進展メカニズム / ひずみ速度 / 岩石強度 / 起爆秒時差 / 起砕効果 / 発破振動 |
研究実績の概要 |
本年度は、発破による岩石の破壊機構についての知見を得るため、強度の異なる2種類のモルタル供試体を用いた室内小規模発破試験を実施し、発破後の岩石のき裂の進展挙動ならびに供試体の強度の影響について種々検討を行った。なお、昨年度に引き続き画像相関法(Digital Image Correlation; DIC)を用いたひずみ解析を適用し、高速度カメラを用いて撮影した画像を基に発破後の供試体表面の変形挙動の可視化を試みた。その結果、供試体の強度が大きいほど、大きなひずみ速度で破壊が発生することが明らかになるとともに、岩石の強度とき裂発生時のひずみ速度の関係について明らかにした。このことから、き裂発生予測に対してひずみ速度が有効であることが明らかになるとともに、き裂発生時のひずみ速度の閾値についてデータを得ることが出来た。 一方、昨年度に引き続き国内の露天掘り鉱山において、岩盤状態(岩盤強度、き裂密度、節理方向・状態)および発破規格(起爆秒時差、起爆方向)を変化させて発破試験を行った。その結果、適切な起爆秒時差を設けることで発破振動の効果的な軽減が可能なることが明らかとなった。また、起爆秒時差が異なると起砕物粒度に違いが認められたことから、起爆秒時差により発破の起砕効果も異なることが明らかとなった。さらに、起爆方向の相違により起砕効果および起砕物の飛翔方向も異なることが明らかとなった。一連の現場試験の結果かから、適切な起爆秒時差および起爆方向を設定することで、効果的かつ環境に易しい発破が可能になることが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成29年度は、1)室内発破試験により岩石強度が異なる場合のき裂発生およびその進展メカニズムの検討および2)現場実験による起爆秒時差ならびに起爆方向が発破の起砕効果および発破振動に及ぼす影響に関して検討し種々の知見が得られており、昨年度の成果と併せて結果がまとまってきていることから、おおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度および平成29年度の研究で不足している実験データについて、引き続き室内試験および現場試験を実施するととともに、これまでの研究成果を基に数値解析も適用しながら、小規模発破による周辺地山および周辺環境への影響を抑制しつつ、高精度かつ高い発破効率を得ることが可能な「環境低負荷型コンパクトブラスティングシステム」の設計指針を提案する。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由) 次年度への繰り越し可能な助成金であり、年度始めに研究協力機関との協議の実施を検討しており、その旅費として使用を予定していたため。 (使用計画) 平成30年度の研究協力機関との打ち合わせあるいは現場試験に必要な旅費として使用を予定している。
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