電子サイクロトロン電流駆動用固定周波数型大電力ミリ波帯高速スイッチの低損失化・軽量化を目的として,三角形スイッチを提案・設計・製作し、量子科学技術開発機構那珂核融合研究所にて低電力試験を行った。今回の低電力試験にて,入射角30°でのサファイアミラーの反射率,三角形スイッチの周波数特性,切替特性の測定を行った。 まず最初に入射角30°で厚さ0.96 mmと1.65 mmのC面カットサファイアミラーの反射率を、周波数帯域169.5 GHzから170.5 GHzで測定した。測定は、二つの入射角30°のマイターベンド間にサファイアミラーを設置し,その放射パターンの積分で評価した。どちらのサファイアミラーも反射率の周波数平均値は55%程度であったが,厚さ0.96 mmのサファイアミラーでは周波数依存性にばらつきがみられた。 次に0.96 mm厚のC面カットサファイアミラーを使用して三角形高速スイッチを組み上げ、出力P2,P4の周波数特性を測定した。入射波の周波数帯域は169.5 GHzから170.5 GHzで,角錐ホーンアンテナを出力端から500 mm離れた位置の中心部に置き測定した結果、周波数変調すればP2とP4間で切り替え可能なことを確認した。 最後にリング共振器の周長を変調するための振動鏡: Vibration reflectorをマイターベンドの反射板と交換して、市販の振動発生器により300Hzまでの振動試験を行い、共振周波数付近でP2とP4の切り替え試験を行った。Vibration reflectorの可動範囲が小さいと出力に振幅変調はかかるが切り替えまでには至らず、可動範囲が大きくなると切り替わるが寄生共振の発生が確認された。 これらと並行して、切り替え周波数を上げるためミラーの固有振動の利用に関する検討を数値計算と初歩的試験で行った。
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