研究課題
核融合プラズマ中のタングステン不純物の挙動解明に不可欠となる水素原子-タングステンイオン衝突断面積を、日本原子力研究開発機構原子力科学研究所設置のタンデム加速器を用いて測定した。加速器側の都合で平成29年度中の実験予定をキャンセルした事を受け、事業期間を当初予定より1年延長し、令和元年度までとした。元年度は30年度に完了した電荷分析電磁石用NMR磁場コントローラ更新を受け、平成24~26年度科学研究費基盤研究(C)「NBI水素ビームとタングステンイオンの荷電変換衝突断面積の実験的測定」により導入した水素クラッカー源およびビーム導入ポート付きチェンバー蓋を用いて発生した水素原子ターゲットを、タンデム加速器より得られる1.0 MeV/uタングステンイオンと交差衝突し、衝突後のタングステンイオン価数変化を下流の電荷分析電磁石で検出することにより衝突後の電荷変化測定を実施した。測定結果から電荷変換断面積絶対値を得るには、さらに鉄イオンを用いた規格化測定を行う必要があり、これは2年度に実施して結果を発表する予定である。また、本実験を含む研究成果につき、2019年7月フランス・パリにて開催された第26回イオン原子衝突国際シンポジウムならびに2019年11月松江市にて開催された第23回非弾性イオン表面衝突国際ワークショップにて口頭発表し、2019年7月フランス・ドーヴィルにて開催された第31回光子電子原子衝突国際会議にてポスター発表を行ったほか、本研究を含む荷電返還衝突の知見を応用して京都大学理学研究科宇宙線研究室との共同研究を実施し、多重イオン化過程を利用した宇宙線組成研究に関する論文を投稿した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 3件)