研究課題/領域番号 |
16K06939
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
浅井 朋彦 日本大学, 理工学部, 准教授 (00386004)
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研究分担者 |
井 通暁 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00324799)
高橋 俊樹 群馬大学, 大学院理工学府, 准教授 (10302457)
関口 純一 日本大学, 理工学部, 助手 (40755419)
高橋 努 日本大学, 理工学部, 教授 (50179496)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 高ベータ / コンパクトトーラス / FRC |
研究実績の概要 |
本実験は,極限的に効率の高い核融合炉心プラズマを実現する可能性を持つ磁場反転配位(Field-Reversed Configuration: FRC)について,効率的な加熱・電流駆動法の確立を目指し,FRCへ低周波波動を印加しその振る舞いを観測するとともに,加熱特性などを評価することを目的としている。平成28年度は,当該実験を実施するFRCプラズマの生成・閉じ込め装置FATについて,新規に逆磁場シータピンチ型生成領域を建設し,その立ち上げを行なった。この結果,2つのFRCを同時に生成し,相対速度400km/s超で衝突・加熱を行うことが可能となった。逆磁場シータピンチ法は,プラズマの拡散・緩和といった時間スケールよりも早くトロイダル電流を駆動することで,極めて高いベータ値(β~1)を持ち,またプラズマ環と鎖交する中心構造物を持たないトーラスプラズマを実現する手法で,国内では現在日本大学のみで実施可能な実験である。 さらに28年度は,低周波波動生成のためのアンテナの基本設計を終え,アンテナの真空保持容器をFAT装置の真空容器内に設置し,また,目標とする80 - 100kHzの波動印加へ向け,ギャップスイッチ型ファストバンクを用いた放電回路の建設を進めた。現在,充放電の試験を滞りなく終え,アンテナと放電回路の接合部の設計を進めている。また,並行して,FRC中へ印加された波動の伝播特性やFRCの応答を観測するため,赤外レーザー干渉計,ボロメータアレイ,および内部磁気プローブの開発を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は,波動印加の対象となるFRCプラズマの大型化・長寿命化を図るための既存のFRC装置の改造と波動印加のためのアンテナおよび励起用の電源の設計・製作を予定していた。FRC生成装置の改良は予定通り順調に進み,また,波動印加のための電源,アンテナなどもほぼ計画通りに開発を終えた。現在,波動印加用のアンテナと電源を,FRC装置へインストールする作業を進めている。また,当初予定した計測機器に加え,連携先であるトライアルファエナジー社からボロメータシステムなどの貸与を受け,特に計測系の準備については,当初予定よりも順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
実験装置の準備は概ね順調であり,今後も当初の計画通り研究を遂行する。本年度は,FRC衝突実験の運転条件の最適化を行い,また,このFRCプラズマに対して低周波波動を印加する。伝播する波動の振る舞いは,すでに装置にインストールされた内部磁場プローブアレイで観測するほか,FRCの応答を,レーザー干渉計,ボロメータアレイ,イオンドップラー分光法などによって観測する計画である。また,超アルヴェン速度で衝突・合体するFRCの振る舞いや,印加された波動のFRC内での伝播特性について,当初の研究分担者・協力者による理論的評価に加え,連携先の一つであるトライアルファエナジー社のMHDシミュレーションコードの提供を受け,実験条件の設定や結果の評価を行う計画である。
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