研究課題/領域番号 |
16K06941
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
洲鎌 英雄 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 教授 (80202125)
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研究分担者 |
佐竹 真介 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (70390630)
沼波 政倫 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (40397203)
登田 慎一郎 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (60332186)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | プラズマ核融合 / 理論シミュレーション / 新古典輸送 / 乱流輸送 / ジャイロ運動論 |
研究実績の概要 |
変分原理(ジャイロ運動論的場の理論)に基づき、イオン熱速度程度のトロイダルフローの存在する軸対称トーラスプラズマにおける粒子分布関数と電磁場の支配方程式を導き、拡張されたネーターの定理を用いて衝突の効果を含めた場合の粒子・熱・運動量保存則を導き、それらの保存則には、従来の古典・新古典および乱流輸送フラックスが含まれていることを示した。また新たに非軸対称トーラス系を含む一般的な磁場配位に対するドリフト運動論的方程式が満足する運動量保存則を変分原理により導出した。 LHDにおける多イオン種プラズマ中の不純物イオン粒子輸送過程を新古典輸送シミュレーションにより調べた。準線形ジャイロ運動論解析による不純物イオンの乱流粒子輸送は小半径方向内向きであるが、十分大きな外部モーメンタムソースが存在すると、両極性粒子拡散条件により、正の小半径方向電場(電子ルート)が生じ、不純物イオンの新古典粒子輸送が、小半径方向外向きになることが明らかになった。 イオン温度勾配(ITG)モードが不安定な高イオン温度LHDプラズマに対して、運動論的電子の効果を含めた非線形ジャイロ運動論的シミュレーションを実行し、乱流イオン熱拡散係数を計算した。捕捉電子の効果のため、周辺領域において、ゾーナルフローの減衰時間が減少し、乱流イオン熱輸送は増加することが確認された。乱流イオン熱拡散係数を求めるための計算コストを減らすため、ITGモードの線形不安定解析とゾーナルフローの線形応答解析の結果を用いた乱流イオン熱拡散係数の簡約化モデルを、運動論的電子の効果を含めた場合に拡張した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
変分原理に基づく衝突・乱流輸送理論の定式化が進展するとともに、LHDにおける不純物輸送に対する外部モーメンタムトルクの効果の解析がなされ、不純物輸送に関する新たな知見が得られた。また、ヘリカルプラズマにおける運動論的電子効果を含んだジャイロ運動論的解析に基づき、乱流イオン熱拡散係数に対する簡約化モデルの拡張が進められた。 以上の研究成果は、Reviews of Modern Plasma Physics や Plasma and Fusion Research 等の学術雑誌に掲載され、1st Asia-Pacific Conference on Plasma Physics の招待講演や 7th Asia Pacific Transport Working Group (APTWG2017) International Conference、21st International Stellarator-Heliotron Workshop (ISHW2017)、59th Annual Meeting of the Division of Plasma Physics of the American Physical Society、26th International Toki Conference & 11th Asia Plasma and Fusion Association Conference等の主要な国際会議において発表された。
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今後の研究の推進方策 |
非軸対称トーラス系を含む一般的な磁場配位に対する運動論的方程式が満足する運動量保存則の変分原理による導出をドリフト運動論からジャイロ運動論の場合まで拡張を行う。 統合輸送コードへ適用するため、ジャイロ運動論的シミュレーション結果に基づく輸送モデルの拡張を進め、線形および準線形理論やゾーナルフロー応答解析を利用することによるイオンおよび電子熱輸送や粒子輸送の高速計算手法の構築と拡張を目指す。 両極性粒子拡散条件に対して、外部トルクによる電流の効果を新たに考慮することによって、不純物イオンを含む多種イオンおよび電子の新古典・乱流輸送シミュレーションとLHD等の実験結果との定量的比較をさらに進展させ、不純物輸送やイオン同位体効果の物理機構の理解を深める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の見込みより少ない物品費用により、研究計画を遂行することが可能となったため。次年度の研究計画遂行に必要な物品費等に使用する計画である。
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