| 研究課題/領域番号 |
16K06943
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| 研究機関 | 核融合科学研究所 |
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研究代表者 |
田村 仁 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (20236756)
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| 研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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| キーワード | マルチスケール / 有限要素法 / 超伝導 / マグネット / 核融合炉 / 構造設計 |
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| 研究実績の概要 |
核融合炉の実現には超伝導マグネットの使用が必須であり、その大きさは半径１０メートル以上と見込まれている。一方、超伝導マグネットのコイル部分を構成する超伝導導体は、断面寸法が数センチメートルであり、さらにその超伝導導体は数ミリメートルの細い線材を束ねたものや、テープ状の材料を積層して製作される。このような構造物が運転時に作用する負荷や温度変化に対してどのような挙動を示し、構造物として健全かどうかを評価するために、マルチスケールによる解析手法による応力解析を提案した。これまで、ヘリカル型核融合炉用の超伝導マグネットシステムを対象として、超伝導導体の均質化解析とそれを用いた構造物全体の応力解析による健全性評価を行った。均質化解析では、候補となっている数種類の超伝導導体に対して内部の構造を詳細にモデル化し、引張・圧縮、せん断全ての方向の単位ひずみ量を与えることによって、超伝導導体の均質化解析を行い、その後の全体解析で単一の物性値によってモデル化できるようにした。また、全体構造解析において超伝導マグネットのコイル巻線部分とコイル容器部分の間のすべりと接触を考慮した解析を行い、実際のマグネット励磁の際に起こると予想される機械的挙動を評価した。さらに、全体解析で得られた超伝導マグネット部の応力・ひずみ分布から、超伝導導体内部の応力／ひずみ分布状態を詳細に評価することができた。平成３０年度はこのような手順を様々な構造に適用できるようにし、コイルの巻線形状パラメータが変化した場合の構造解析に適用し、構造物全体から、構成する細部の部材に至る応力分布、変位分布を詳細に得ることができた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
核融合炉用超伝導マグネットの構造解析にマルチスケール手法を適用し、以下の結果を得ることができている。
（１）超伝導導体の内部構造をモデル化した均質化解析による等価物性値を算出した。（２）超伝導コイル巻線部と支持構造物間のすべりと接触を考慮した全体解析により、完全に接触している場合との比較検討を行った。（３）全体解析で得られた応力・ひずみ分布から、超伝導導体を構成する各部材の機械的挙動を明らかにした。（４）種々の超伝導導体構造に対して均質化物性値を求め、全体構造に与える影響を明らかにした。（５）全体構造が変更された場合に対応した解析を行い、マグネット構造最適化に必要な応力・変位分布情報を得た。
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| 今後の研究の推進方策 |
核融合炉用超伝導マグネットへのすべりと接触を考慮したマルチスケール解析の適用により、マグネット構造最適化に必要な応力・変位分布情報を得ることができた。ヘリカル型核融合炉へ適用した結果、マグネットの重量は数万トンとなっており、重量の低減が課題となっている。本マルチスケール解析手法と構造最適化手法を合わせて適用することにより、構造の健全性と軽量化を両立するための興味深い結果が得られており、このような手法による具体的な構造設計例を示す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
これまでの研究成果は、国内外の学会や論文投稿によって公開してきたが、さらに興味深い未発表の成果が得られており、研究をより精緻に達成するために、補助事業期間を延長し、2019年度に開催される学会での発表、およびまとめた内容の論文投稿のために使用する予定である。
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