研究課題/領域番号 |
16K06944
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
笠原 寛史 核融合科学研究所, ヘリカル研究部, 准教授 (50435517)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 高周波特性の改善 / 計測領域の拡大 / 他の実験からのフィードバック / 最適化による再設計 |
研究実績の概要 |
2017年度はプラズマ周辺部の局所計測用プローブ(静電プローブ4点・高周波プローブ4点・光計測用ファイバー1点)の設計を実施した。静電プローブのプローブ間距離は4-5cm程度と静電プローブ間の局所計測としては離れているが、高周波プローブ(<GHz)や光計測(200-800nm)とは2-3cmと近い配置である。高周波揺動との相関を計測することを目的としており、波長から考えられる局所性は保持出来ると考えられるため、この距離でも十分局所計測としての相関を評価可能である。 当初の設計では高周波プローブは周波数特性の良いセミリジッドケーブをループにして用いる予定であったが、フランスの共同研究者とアンテナ周辺部での高周波計測について検討を進めたところ、高周波受信部のループはセミリジッドケーブルを用いたループではなく、通常のアンテナと同じように導体を用いたループ構造を作成した方が、周波数特・電磁力・電力負荷の点で優れいてるという結論に達した。特にフランスのカダラッシュでの高周波実験はループ構造をケーブルで作成した所、何度改良を加えても大電力加熱用アンテナから放射される電力と強く結合して、プローブが燃えてしまうという忠告を受けた。将来的には大電力加熱用アンテナの周辺で計測を検討しているため、設計変更を実施することにした。 設計変更後のアンテナはプラズマ方向(径方向)に10cm可動できるように設計にし、さらに他の装置に取り付けるときに低予算かつ容易に変更が出来るようにセミリジッドケーブルの長さを変える事で調整出来るようにした。通常静電プローブは高周波用の同軸ケーブルおよび同軸用のフィードスルーは使用しないが、今回は高周波揺動まで計測を意図しているため、信号ラインは極力50Ωの特性インピーダンスにして、高周波特性に配慮した設計を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プラズマ周辺部での高周波揺動の相関計測を実施するために局所計測用プローブが必要であるが、他の高周波プローブ実験からの経験のフィードバックを踏まえてプローブの再設計を行った。そのために当初予定ではプローブ製作を実施する予定の年にプローブ設計を継続することになり進捗状況が遅れている。ただし本計画は不慮の遅延を考慮するために4年で研究を実施する計画となっているため、最終的な予定に対して若干の進捗が遅れている程度に留まっている。研究計画では実験を実施してプローブの再改造を考慮に入れたタイムスケジュールにしてあるが、今回の設計変更により再改造を減らす工夫を取り入れているため、再改造時にかかる時間を減らす事が出来る。またプローブの製作前に設計変更を行う事が出来たため、修正による改造ではなく、より本質的に適切なプローブ設計が可能となり最適化も含めて大幅な設計変更を実施出来た。
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今後の研究の推進方策 |
プローブ設計に時間がとられたが、事前に最善の改良を設計に行えたため、今後の実験で改造が必要になった場合においても、その改造を容易に可能となるように汎用性の高い設計が行われている。これに伴い今後の研究を進める上で時間を節約できるようになった。来年度はプローブ製作とプローブの特性試験などを実施することを計画している。プローブ製作に関して製作業者と打ち合わせを行っており、製作精度等も踏まえてまだ若干の設計の変更が必要となる。ただし、設計の概枠は既に終わっているため、本年度中にプローブの製作が終了し、プローブの初期特性調査およびプラズマ周辺部の揺動計測なども高周波加熱を行なわないときにまずは実施する予定で有る。この結果により高周波加熱実施中に計測をする予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度はプローブ製作を実施する予定であったが、今後の実験計画を円滑に進めるにあたりプローブの再設計が必要となった。プローブの再設計の判断を下すまでにその必要性や重要性について海外の共同研究者と検討を進めるために時間が必要であり、プローブ製作の依頼が出来なかったため、本年度予算を使わず、次年度に予算を持ち越すに至った。最終的にはこの判断が予算内で実験を実施すためにもよりよい計測を実施するためにも良い結果を生むと考えられる。プローブ設計はほぼ終了しているため、若干の修正の後、次年度に製作依頼を行い本年度使用しなかった予算を使用することになる。
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