プラズマ周辺部の高周波電場によるプラズマ物理モデル研究のために、マルチアレイ型の静電プローブ・高周波プローブを作成し、プラズマ計測を実施した。アンテナ周辺部で励起された高周波電場との結合が強く、低密度時の計測では計測系およびプローブの損傷につながり、計測系の再設計を余儀なくされた。 実プラズマ計測において、計測用プローブはアンテナ励起の電力が強い場合、プローブのフィードスルー部の絶縁部に10kVを越える電圧が印加する場合が発生し、それに伴い絶縁破壊につながる事が分かった。大電力高周波励起アンテナ周辺部での高周波電場計測を実施するためには、高周波電場の非接触型の計測手法または30kVを越える耐電圧を有する計測用フィードスルー開発が必要であった。今回の研究では計測用の大電力フィードスルーの開発には予算を計上していなかったため、今後の検討および研究課題とした。 アンテナ周辺のプラズマモデルとして、2次元断面における熱プラズマを考慮した電磁波伝搬モデルと熱運動を考慮しないプラズマモデルを作成し比較したところ、アンテナ周辺部では冷たいプラズマモデルでも十分であることが計測的にも示された。ただしアンテナやプローブがあることでその機器周辺部に密度勾配が発生し、それに伴う密度分布モデルを作成する必要があることが分かった。 今回の研究で、周辺部のプラズマ物理モデルには真空容器内に設置する機器周辺部の密度分布計測の必要性が明確になったが、直接計測には計測用高耐圧フィードスルーの開発が必要であり、プラズマ物理モデルとしては機器周辺に低密度を考慮した伝搬モデルを作成する必要があるが、核融合プラズマなど密度の高いプラズマ研究のためには、機器周辺密度分布は速波などが伝搬するには低すぎるため、考慮の必要がないことが分かった。
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