研究課題/領域番号 |
16K06948
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
小関 隆久 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 六ヶ所核融合研究所, 所長付(任常) (50354577)
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研究分担者 |
林 伸彦 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, グループリーダー(定常) (10354573)
内藤 磨 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂核融合研究所 先進プラズマ研究部, 上席研究員(定常) (30354575)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | データ同化 / シミュレーション / プラズマ / カルマンフィルター / ナビゲーター / 核融合炉 |
研究実績の概要 |
核融合炉における近接未来時間(制御可能な時間スケール以上)のプラズマ状態を推定すること目指して、リアルタイムで計測されたプラズマ観測データのシミュレーションへの同化に向けて、カルマンフィルターを用いた計算モデルの開発に着手した。 プラズマシミュレーションのメインフレームをプラズマ熱・粒子輸送コードとし、簡略化モデルによる実行可能性を確証することを目指した。第一ステップとして、プラズマ電子温度を捉え、電子温度の輸送方程式を解くこととし、他の物理量は変わらないと仮定した。カルマンフィルターにおける、システムモデルとしてプラズマ電子温度輸送方程式を考え、微小時間先の電子温度を逐次推定することとした。モデルにおける変数xtは時刻tにおけるn次元のプラズマ電子温度の行列とし、熱輸送係数の理論における不確かさから、システムノイズを決めることとした。観測モデルを(yt=Htxt+wt)とする。ここで、 ytは観測される変数の行列であり、 wtは観測時の生じるノイズを元に求めることとした。これらを元に推定モジュールの定式化を行った。輸送方程式は非線形性があるため、輸送方程式を時間に対して線形化を行い、微小時間先の小半径rに対する離散化した電子温度(xt)の定式化を行った。これによって、径方向電子温度分布を逐次推定するモデルを導出した。この成果を、第22回数値トカマク(NEXT)研究会(京都、平成29年3月9-10日)「炉心プラズマ輸送のデータ同化シミュレーション」にて発表した。気象・天文分野では、同様の研究が進んでいることの情報を得ると共に、核融合炉における制御のナビゲーションとしての可能性を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究の初年度として、理論モデルの構築や研究全体の進め方についての議論、及び対象とするシステムの絞り込みを行い、基本となるシステムモデルの定式化を行うことができた。この定式化により、シミュレーションコードの具体化の基本ができた。また、ここまでの成果を研究会にて発表し、モデルの議論を行うことができた。おおむね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、導出したモデルを元に、シミュレーションモジュールの開発を行う。採用する輸送係数の理論モデルにおけるシステムノイズの検討を行い、前年度に開発した定式化のシミュレーションモジュールへの適用を図る。また、JT-60Uの計測データを元にした観測ノイズを用いて、シミュレーションを実行し、データ同化の実行可能性を確認する。さらに、シミュレーション結果に応じて、システムモデルの再検討を行い、改良を加える。
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度は、基本モデルの検討及び理論モデルの開発が、主な研究活動となったが、来年以降は、開発した理論モデルに基づく具体的シミュレーションコードの開発、計算の実行及び成果の発表・議論が必要となる。そのため、計算結果データの整理・解析を行う物品費、及び、得られた結果を発表し、関連の研究者と議論をおこなう旅費の増加が見込まれるため。
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次年度使用額の使用計画 |
計算結果の保存・整理・解析を行うサーバ機及び関連備品やソフトの物品購入費、約50万。 学会、研究会、等による成果発表と研究成果の議論のための旅費に、約80万(3人分)。 その他、学会参加費等に、約10万(3人分)。
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