研究課題/領域番号 |
16K06959
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
齊藤 泰司 京都大学, 原子炉実験所, 教授 (40283684)
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研究分担者 |
伊藤 大介 京都大学, 原子炉実験所, 助教 (30630024)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 液体金属 / 気液二相流 / 濡れ性 / 加速器駆動システム |
研究実績の概要 |
鉛ビスマス冷却型加速器駆動システムの実用化に向けて、壁面濡れ性が鉛ビスマス流動に与える影響を実験的に検討した。実験は鉛ビスマス強制流動ループおよびプール体系試験部を用いて行い、ポテンシャルプローブを用いた液相速度計測とマルチセンサープローブを用いたボイド率計測を行った。作動流体には、鉛ビスマスと窒素ガスを用い、液温を300℃一定として、窒素ガス流量を変化させて実験を行った。実験結果から、壁面の濡れ性が悪い場合には、気泡が壁面近傍に集中し、速度分布も壁面近傍で最大値をとることがわかった。また、壁面の濡れ性を制御した実験をプール体系試験部を用いて実施し、壁面の濡れ性により、ボイド率の気相流速依存性が影響を受けることが明らかとなった。試験部は内径100㎜のステンレス円管であり、強制流動実験と同様に鉛ビスマスと窒素ガスを作動流体として用い、流体温度も300℃一定とした。実験においては、壁面の濡れ性だけではなく、試験部中心にステンレス製のインナースリーブを同心円状に挿入することにより水力相当直径も変化させた。 軸対称を仮定した1次元モデルによる解析を行った結果、インナースリーブの無い円筒状気泡塔実験においては、モデル計算から算出した分布パラメータは実験値とよく一致することがわかった。さらに、円筒状気泡塔実験においては、壁面の濡れ性は分布パラメータにはほとんど影響を与えないことがわかった。これは壁面面積が相対的に小さいことと壁面近傍で下降流が形成され、下降流中のボイド率が小さいことが原因と考えられる。 一方、インナースリーブを挿入した実験においては、モデル計算から得られた分布パラメータは実験値を過小評価する。これは、濡れ性の変化によりボイド率分布が仮定から大きく異なることが原因と考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
京都大学の研究用原子炉の再稼働に伴い、液体金属の流れを中性子ラジオグラフィを用いて可視化計測することが可能となり、解析も順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
濡れ性が液体金属二相流に与える影響をさらに詳しく調べるために、中性子ラジオグラフィおよびボイドプローブを用いて局所ボイド率計測を継続して行う。
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