研究課題
次世代不活性燃料や放射性廃棄物/核変換処理材料の母相として期待される蛍石型構造の安定化ジルコニアおよびセリア,ならびにマグネシア・アルミネート・スピネル中のオントラックの微細構造と電子励起損傷の重畳に伴う微細組織発達過程に関する研究を継続して行った。研究手法としては、種々の透過および走査透過電子顕微鏡法,X線散乱/分光法,ラマン分光法を相補的に用いてにより、構造と組織発達を多角的に追求した。以下に本年度の研究成果の概要を記す。(1)安定化ジルコニア中のイオントラック構造について電子顕微鏡法を用いた研究を継続した。イオントラックは同じ蛍石構造を有するセリアと同様に蛍石構造を保っていること、およびイオントラック中心領域は原子密度が低下していることが分かった。しかしながら、蓄積過程の解析から安定化ジルコニア中のイオントラックはセリアと比較して、その形成頻度は著しく小さく、回復影響領域サイズも小さいことが明らかとなった。蓄積過程は直接形成のみでは実験結果を再現出来ず、直接形成過程と、重畳による形成過程の和によって表されることを示した。さらに、形成頻度および回復影響領域サイズの電子的阻止能依存性についても明らかにした。(2)マグネシア・アルミネート・スピネル中のイオントラック中の陽イオン配列の不規則化の度合いをXAFSスペクトルより評価する方法を新たに提案した。不規則化度は照射量の増加に伴ってランダム配列に近づくことを定量的に評価した。また、SAXS法により評価したイオントラックの大きさは、分析透過電子顕微鏡法から以前に求めた値と大きく変わらないことを示した。(3)超高圧電子顕微鏡―カソードルミネッセンス法「その場」測定システムを用いて、電子照射下の点欠陥蓄積ならびにその価数を評価する方法について検討を行うと共に、電子照射した安定化ジルコニアおよびセリアの点欠陥蓄積過程を議論した。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (10件) (うち国際学会 5件、 招待講演 2件) 備考 (1件)
Journal of Luminescence
巻: 208 ページ: 108-118
https://doi.org/10.1016/j.jlumin.2018.12.045
京都大学工学研究科附属量子理工学教育研究センター(QSEC)第19回公開シンポジウムプロシーディングス
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Journal of Applied Physics
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http://neutrino.nucl.kyushu-u.ac.jp/lab3/