研究実績の概要 |
核燃料(UO2)と同じ蛍石型結晶構造をもつ物質(CaF2,SrF2,BaF2)や関連物質について、20MV タンデム加速器を利用して高速重イオンを照射し、それぞれについて透過型電子顕微鏡(TEM) を用いてナノヒロックを直接観察することができた。 1.ナノヒロックの結晶構造解析:これまで不可能だったナノヒロックのみのTEM 像を取得し、電子回折パターンを解析できた。(CaF2,SrF2,BaF2,Y3Fe5O12) 2.ナノヒロックの元素組成マッピング分析:ナノヒロックの元素組成及びその分布状態の分析をCaF2について試みたが、軽元素のためなのか、ナノヒロック中の元素分析を行うのに十分な信号が得られなかった。今後、比較的分析しやすい化合物を選択し、ナノヒロックの元素分析を試みる予定である。 3.ナノヒロックの精密な寸法データの取得:CaF2,SrF2,BaF2,Y3Fe5O12について、統計的に十分な数のナノヒロックを観察し、高さ・直径の寸法データを取得した。寸法分布を解析し、平均寸法を求めることができた。その結果、従来のAFM測定が、どの程度直径を過剰評価していたかを正確に評価できた。(CaF2,SrF2,BaF2,Y3Fe5O12) 4.メカニズム解明のためのMD シミュレーション:イオン照射によって照射表面が隆起する初期過程をMD(分子動力学) 法で再現する準備が整い、CeO2については隆起する挙動自体は再現できた。より多い原子数を想定した計算が必要であり、今後の課題として取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画通りの課題について: これまで不可能だったナノヒロックのみのTEM 像を取得し、電子回折パターンを解析できた。統計的に十分な数のナノヒロックを観察し、高さ・直径の寸法データを取得した。(CaF2,SrF2,BaF2,Y3Fe5O12)イオン照射によって照射表面が隆起する初期過程をMD(分子動力学) 法で再現する準備が整い、CeO2については隆起する挙動自体は再現できた。 計画が遅れている課題について: ナノヒロックの元素組成及びその分布状態の分析を試みたが、ナノヒロック中の元素分析を行うのに十分な信号が得られなかった。分析の最適条件を探索することが今後の課題である。
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