本研究では、金属系の相変化材料を蓄熱体として組み入れた変動熱源利用型の新規ソーラー天然ガス改質反応システムの開発を最終目的としている。 熱力学平衡計算により天然ガス改質が80%以上の高い転換率が得られる温度域である600℃以上に融解潜熱を有する合金系として、Al-Si合金とCu-Ge合金に着目した。潜熱蓄熱性能を評価するにあたって、これらの高温熱物性は未解明な点が多くほとんどわかっていない。特に、液相における熱物性である比熱・密度・熱伝導率については論文等による報告値がないか、もしくは温度依存性について未確定であった。本研究ではこれらの合金系について高温熱物性の温度依存性を明らかにした。 潜熱蓄熱系を反応システム化するにあたって、蓄熱容器との高温親和性が問題となる。本研究では蓄熱容器候補材料との高温腐食反応性について実験的に評価した。Cu-Ge合金についてステンレス系耐熱合金はPCM潜熱蓄熱材料との高温反応が観察されたのに対し、アルミナやSiCは800℃、60日の連続腐食反応試験においても、高温反応しないことが明らかとなった。これらの金属系の相変化型潜熱蓄熱系は変動する熱供給下において優れた熱応答性・蓄熱容量を有することから変動熱源利用型の新規ソーラー天然ガス改質反応システムの蓄熱系として従来の溶融塩利用と比べて優れていることを明らかにした。 以上の研究結果を基に高温空気を熱媒体とする潜熱/化学蓄熱システム試験装置をラボスケールで設計し、製作した。
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