研究課題
本研究は、突然変異により総腓骨神経を欠損したperoneal muscular atrophy (pma) マウスの原因遺伝子を同定することを目的としている。pmaマウスは総腓骨神経が欠損しているために腓骨筋に神経原性の萎縮が生じ、下肢が内反尖足を示す。これまでの研究代表者の研究により、脊髄運動神経軸索が下肢に投射する時期に既に総腓骨神経が欠損していることを明らかにしている。しかしながら、どのような機序で総腓骨神経の欠損が起こるかは不明である。そこで、次世代シークエンスなどを用いて原因遺伝子を特定し、発症の分子機序を解明することを目指している。昨年度、連鎖解析により原因遺伝子があると想定されるゲノム領域を含む約2 Mbの配列をエンリッチして次世代シークエンスにより決定した。今年度は、胎生13.5日のpma(ホモ)マウスとヘテロマウスのトータルRNAを用いてRNA seqを行った。その結果、多数の遺伝子の発現量がpmaマウスで減少していたが、その中に候補領域内の遺伝子も含まれていた。さらに、得られた配列を注意深く解析したところ、候補領域内の遺伝子のイントロン中に、野生型マウスには存在しない配列が挿入されていることが明らかとなった。また、この挿入配列を含む異常な転写産物が作られていることも明らかとなった。今後は、この挿入配列が異常を生み出す原因を明らかにすることを目指す。また、成獣脳における遺伝子発現異常についても解析を進める計画である。
2: おおむね順調に進展している
本年度に実施したRNA seqにより、pma胎児で発現が変化している遺伝子が明らかになった。さらに、詳細な解析から、候補領域内の遺伝子の1つに野生型では見られない配列が挿入されていることを見出し、研究が大きく進展した。
候補領域内に見られた挿入配列が異常を引き起こすメカニズムを探求する。そのために、挿入配列を含むどのような転写産物が作られているかをRT-PCRで調べ、胎児や成獣脳に発現しているかどうかをin situハイブリダイゼーションにより明らかにする。
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Dev. Neurosci.
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Am. J. Physiol. Renal Physiol.
巻: 310 ページ: F395-408
10.1152/ajprenal.00445.2015.
http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/molneurobiol/index.html