研究課題
本研究では、突然変異により先天的に総腓骨神経が欠損し尖足を示す peroneal muscular atrophy (pma) マウスの原因遺伝子を同定し、発症の分子機序を明らかにすることを目的としている。これまでに連鎖解析により同定したゲノム候補領域内に存在する全ての遺伝子の配列を決定し、ナンセンス変異やフレームシフト変異が無いことを明らかにしている。本研究の開始後に、実施したRNA-seqのデータと、それより前に実施した候補領域のリシークエンスの結果を解析したところ、候補領域内のある遺伝子に正常マウスでは見られない挿入配列があることを見出した。そこで、CRIPSR/Cas9法により、この挿入配列を除去したマウスを作製し、表現型を解析した。このゲノム編集マウスは、新学術領域研究「先端技術基盤支援プログラム」の「先端モデル動物支援プラットフォーム」に採択され、筑波大学生命科学動物資源センターで作製された。この遺伝子改変マウスはpmaの表現型を示さなくなったことから、この配列の挿入が原因であることが分かった。しかしながら、この異常配列の挿入により、挿入部位の遺伝子の発現も変化していることから、この遺伝子発現変化が原因である可能性が考えられる。そこで、CRIPSR/Cas9法を用いてこの遺伝子を改変したマウスも作製し、その表現型を観察した。当施設で用いているCRIPSR/Cas9によるゲノム改変法では卵割途中で遺伝子組換えが起こる結果、体の中で異なる組換えが起こった細胞が混在するキメラ状態になる場合がある。そこで、本研究における解析は全て交配した子孫のマウスを用いて行っている。現在は、これら確立したマウス系統を用いて、表現型解析、遺伝子解析を進めている。
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Brain Research
巻: 1710 ページ: 209~219
10.1016/j.brainres.2018.12.041
http://www.md.tsukuba.ac.jp/basic-med/molneurobiol/