研究課題
基盤研究(C)
本研究では、妊娠時の母体の組織構造がどのように変化するのか、またそれに伴い末梢神経軸索がどのように変化するのかを明らかにすることを試みた。妊娠時の乳頭においては末梢神経軸索が伸長すること、またその伸長にはバソプレシンまたはオキシトシンが関与する可能性を見出した。また、乳頭、腟において組織構造の変化を司る分子として、TIMP-1の発現が動的に制御されていること、その発現細胞の一つが血管内皮細胞であることが分かった。また、TIMP-1の発現にはエストラジオールが関与している可能性が考えられた。
神経科学
本研究において、妊娠時母体における組織構造変化の一端が分かり、またそれに伴う末梢神経軸索の変化が明らかとなった。妊娠時の神経系の変化については研究が少なく、本研究の成果は今後の本研究領域の先駆けとなると考えられる。多くの女性が妊娠に伴う体の変化に戸惑い、時に健康・安心な妊娠の維持に困難な状況が生じることがある。本研究の発展により妊娠による母体の変化を理解し、またそれを制御する方策が開発されれば、妊産婦の健康に寄与し、妊娠・出産に対する女性の意欲向上に役立つ可能性が考えられる。