これまでの脳研究では、生きたヒト脳を使用することは極めて困難であったため、動物個体レベルもしくは動物脳より分散させた初代培養ニューロンを用いたアプローチが主であった。本研究では、これまでの動物を用いた研究の弱点を克服するiPS細胞由来のヒトニューロンを用いて、メープルシロップ尿症、副腎白質ジストロフィー、およびプロピオン酸血症などの有効な治療法がみつかっていない疾患において、細胞・分子レベルでの病態解析に成功した。特に、メープルシロップ尿症やプロピオン酸血症では、機能的ニューロンにおいて、それぞれ固有の脆弱性を発見し、これが今後の病態解明および新規薬剤スクリーニングに役立つ可能性を示した。
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