本研究ではRhoファミリー低分子量Gタンパク質の神経細胞移動および大脳皮質層形成における役割について解析を行った。子宮内胎児脳電気穿孔法を用いてRac1、RhoAおよびCdc42を大脳皮質神経細胞で欠損させても神経細胞の移動や最終的な配置に大きな変化は見られなかった。それに対して、Rac1とRac3を大脳皮質の神経細胞で共に欠損させると、出生直後の大脳皮質はほぼ正常であるが、その後神経細胞がアポトーシスによって死んでいくことを発見した。以上より、Rhoファミリー低分子量Gタンパク質は神経細胞の移動には必須ではないが、Racは神経細胞の生存に重要な役割を果たしていると考えられた。
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