研究課題/領域番号 |
16K07011
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
畠中 由美子 大阪大学, 生命機能研究科, 助教 (40271548)
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研究期間 (年度) |
2016-10-21 – 2020-03-31
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キーワード | 大脳皮質形成 / 発生・形態形成 / 細胞系譜 / 神経細胞分化 / ニューロンサブタイプ |
研究実績の概要 |
多様性に富む大脳皮質興奮性ニューロンは、いずれも皮質脳室帯の神経幹細胞から生じる。この時、幹細胞から直接ニューロンに分化する経路と、中間神経前駆細胞を経てニューロンに分化する間接経路があることが知られている。本年度は、同じ時期にニューロン分化へと向かいながら、分化様式が異なることが、多様性にどの様に寄与するかを明らかにするため、直接分化と間接分化を経たニューロンを区別する方法を検討した。一昨年度導入したNeurogenin2(Ngn2)-CreERT2ドライバーマウスに、レポーターマウスのAi14(赤色蛍光タンパク質RFPを発現)を交配した。Ngn2-CreERT2マウスではニューロンに方向性の決まった細胞でCreERT2を発現する。また、投与するタモキシフェン量を限定することでCreが核内で活性化する時間を限定した。この条件下で妊娠12日または13日めにタモキシフェンを投与し、幹細胞から同時期にニューロンへ分化へ方向性が決まった細胞を標識できるようにした。また、同時にチミジンアナログであるEdUを複数回投与し、直接分化ニューロンがRFP+/EdU-となり、分裂能を保持している間接分化ニューロンがRFP+/EdU+となる条件を決定した。これらニューロンの層や領野分布、分子マーカーによる細胞タイプを比較解析するため出生前後における大脳皮質試料を回収した。今後はこの試料の解析を進めるとともに、さらに分化が進んだ段階でのニューロンの性質を比較するため、前年度までに確立した透明化法を適用し、生後3週齢マウスにおける標識細胞の形態解析をすることを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
代表者が再度所属機関を移動したことに伴い実験で使用するマウスの移動手続きが必要となった。このため、しばらく実験サンプルを得ることができない期間があった。初年度のマウスの感染事故の影響とマウスの移動およびクリーン化にかかった時間的な遅れを挽回できていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず移動・クリーン化のために数が少なくなったマウス数を増やし実験系を回復させる。直接・間接分化ニューロンの比較を妊娠12日・13日めに生まれる深層ニューロンで行なっているが、妊娠15日・16日めで生まれる浅層ニューロンに対しても行う。一昨年度までに、1つの幹細胞から間接分化を経た娘ニューロン間の比較も行っているが、これについても解析を進めて論文としてまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の移動により動物実験に遅れが出て、これに関わる消耗品を繰越すこととなった。これらの予算は遅延した動物実験を含む実験遂行のため平成31年度に使用する。
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