匂いの入力から行動出力に至る神経回路メカニズムの解明を目的として、特定の嗅覚行動にリンクして活性化する高次脳領域の同定を行った。食物に由来するアミノ酸やATPはゼブラフィッシュの誘引行動を引き起こし、終脳や視床下部の特定の神経核を共通して活性化した。一方、忌避行動を引き起こす警報フェロモンは、終脳や視床下部において、食物の匂いとは異なる神経核を活性化した。さらに、匂いとエサ報酬の連合学習によって、特定の視床亜核が活性化することが明らかになった。以上のことから、嗅球に表現された匂い分子の化学構造の情報は、異なる高次脳領域によって読み取られ、適切な行動出力へと変換されることが示唆された。
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