2018 年度実施状況報告書

ゼブラフィッシュを用いた、前庭脊髄路による脊髄運動系回路制御機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号	16K07022
研究機関	大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究
研究代表者	木村有希子大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 助教 (70581122)
研究期間 (年度)	2016-04-01 – 2020-03-31
キーワード	ゼブラフィッシュ / 前庭脊髄路
研究実績の概要	前庭脊髄路は、脊椎動物が平衡感覚器で感知した重力の情報に基づいて体幹や四肢の筋肉を制御し、姿勢制御を行う際に重要な経路である。しかし、長い研究の歴史に関わらず、前庭脊髄路から脊髄内のどのようなタイプの介在ニューロンを介して、最終的に運動ニューロンが制御されているかの詳細は不明である。この研究が従来困難であったのは、実験系が複雑であったことや、前庭神経核内にある脊髄投射ニューロンや脊髄介在ニューロンの多様なタイプを同定する手段が乏しかったことのためである。本研究では、ゼブラフィッシュ幼魚を材料に用いることで、上述の困難を克服し、前庭脊髄路からどのようなタイプの脊髄介在ニューロンを介して、運動ニューロンが制御されているのかを明らかにすることを目的とする。29年度は、ゼブラフィッシュ幼魚を重力方向に対して傾けた場合に、活動量が変化する脊髄ニューロンを探すためにイメージング実験を行ったが、実験系に問題点もあり、確定にはいたらなかった。この結果を受けて、30年度はゼブラフィッシュ幼魚に平衡感覚刺激を与えながら、イメージングを行う実験系の改良を行った。新たな実験系により、平衡感覚刺激の伝達に関わるニューロンの活動変化を詳細に捉えることが可能になると期待している。次年度は、本実験系を用いて、個別のニューロンの活動を調べる予定である。
現在までの達成度 (区分)	現在までの達成度 (区分) 3: やや遅れている理由イメージングの実験系の構築が当初の構想どおりに進まず、改良を重ねている。
今後の研究の推進方策	３０年度までに設計した装置を用いて、平衡感覚刺激を与えながら前庭神経核内にある脊髄投射ニューロンのイメージングを行い、平衡感覚刺激で活動するニューロンの同定を行う。同様のイメージングを行い、平衡感覚刺激で活動する脊髄ニューロンの同定を行う。特定の脊髄介在ニューロンを遺伝学的に除去することのできる遺伝子組み換え魚を用いて電気生理学的実験を行い、前庭神経核内にある脊髄投射ニューロンと脊髄運動ニューロン及び、脊髄介在ニューロンの結合パターンを解明する。
次年度使用額が生じた理由	30年度の研究に関しては、他研究計画のために作成した材料を用いて、既存の設備で研究を進めることができたため、当初計画で必要とした支出額を下回った。そのため、次年度使用額が生じた。31年度にイメージングの実験系の構築を進めることで、当初計画の実験を行い、次年度使用額を使用する。