研究課題
昨年度の報告では、多発性硬化症マウスを用いて延髄の最後野における神経幹細胞の役割を調べたところ、多発性硬化症の発症は延髄における脱髄を引きおこし、最後野からの新しオリゴデンドロサイトとアストロサイトの供給を促進すること、また、多発性硬化の発症はオリゴ前駆細胞などの増殖を促進するが、神経幹細胞の増殖には影響を与えないこおとを報告した。当該年度においては、延髄の最後野と中心管に存在する神経幹細胞が、局所的な脱髄において新しいグリア細胞の供給に関与しないか調べた。Lysolecithinを延髄の一部に注入して、局所的脱髄を起こさせたところ、既存のオリゴデンドロサイト前駆細胞が活発に増殖し、髄鞘の再生が観察された。しかし、Lysolecithinによる局所的脱髄では、多発性硬化症モデルマウスと異なり、神経幹細胞由来のオリゴデンドロサイト供給には変化がなかった。これらの結果より、延髄においては、脱髄領域が幅広く起きている場合にはオリゴデンドロサイト前駆細胞だけでは修復能力に限界があり、神経幹細胞より新たなオリゴデンドロサイト前駆細胞が産まれ再ミエリン化を加速していることが分かった。一方、局所的な脱髄では、近傍のオリゴデンドロサイト前駆細胞のみで十分であり神経幹細胞の増殖と分化には影響を与えないことが明らかになった。
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