研究実績の概要 |
1)本年度は、Cdh20遺伝子の生体内におけるノックダウンを行うために作製した2種類のCdh20shRNA組換えAAV ウイルス(AAV9-U6-Cdh20shRNA-GFP #1, AAV9-U6-Cdh20shRNA-GFP #2)とランダムなshRNA配列を導入したコントロール組換えAAV ウイルス(AAV9-U6-NCshRNA-GFP) の感染効率を検討した。HEK293細胞に希釈したウイルス液を感染させ、36時間後にGFP発現レベルを解析した。すべてのウイルスについて、高効率が確認できた。脳内注入に用いる濃度の参考データを得ることができた。2)昨年度までに、Cdh20の細胞内ドメイン-GST融合タンパク質およびCdh20の細胞外ドメイン(EC4)-GST融合タンパク質を抗原としてモルモットに免疫後、抗体を精製し、ウエスタンブロットによりラット脳内でのCdh20の発現を確認していた。本年度は、これらの抗体を用いて、還流固定した成体ラット脳およびマウス脳から凍結切片を作製し、浮遊法により免疫染色を行った。Cdh20の細胞内および細胞外ドメインに対する抗体について、大脳皮質4, 5層、梨状皮質等において、Cdh20mRNAの分布と同様にタンパク質局在が認められた。細胞内ドメインに対する抗体の方が、発現が強く観察された。しかしながら、ラット線条体でのCdh20陽性細胞は、Cdh20mRNA発現細胞の数と比較して、極めて少数であった。これらのことから、線条体でのCdh20タンパク質の局在について、染色条件等を検討する必要が考えられた。
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