研究課題
パーキンソン病病因遺伝子LRRK2とその基質Rabが細胞内において果たす役割について、リソソーム恒常性維持機構に着目し、解析を進めてきた。本研究開始時からこれまでに、クロロキン等の薬剤処理により細胞にリソソーム過積載ストレスを加えるとLRRK2が肥大化したリソソーム上に集積すること、基質であるRab8、Rab10がLRRK2によるリン酸化依存的にリソソーム上に共集積することを見出してきた。また、集積したRab8, Rab10を介してリソソームの肥大化抑制とリソソーム内容物の細胞外への放出促進が引き起こされることを明らかにした。最終年度はこのリソソーム調節に関わるRab8, Rab10のエフェクター分子の探索を試み、siRNAスクリーニングによる解析からそのような分子としてEHBP1およびEHBP1L1を同定した。また、リソソーム過積載ストレス応答を調節する上流因子としてRab7L1の関与を明らかにし、LRRK2下流のRab、エフェクター分子と合わせて本ストレス応答に関わる分子経路の全体像を明らかにした。さらに、LRRK2によるRabリン酸化はリソソームストレス負荷により顕著に誘導されること、セルフリー実験系においてRabリン酸化はGDP解離阻害因子(GDI)による膜引き抜きに抵抗性を与えることで、活性化状態のRabを膜上で安定化させる効果をもたらすことを見出した。以上の結果は最終年度に論文としてPNAS誌に発表した。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件) 備考 (1件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America (PNAS)
巻: 115 ページ: E9115, E9124
10.1073/pnas.1812196115
http://www.neuropathology.m.u-tokyo.ac.jp/