研究課題/領域番号 |
16K07044
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
舟本 聡 同志社大学, 生命医科学部, 准教授 (10345043)
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研究期間 (年度) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイドβ / γセクレターゼ |
研究実績の概要 |
「1.C99結合γセクレターゼとNotch結合γセクレターゼの分離」C99基質とNotch基質をそれぞれ磁気ビーズに結合させて、これを可溶化膜に添加することでそれぞれの基質に結合するγセクレターゼ複合体の分離に成功した。 「2.各基質結合γセクレターゼのNicastrin糖鎖修飾と基質選択性の検討」先行研究では、各基質に結合するγセクレターゼが、それぞれの基質に対して選択性を有する傾向を示していたが、詳細な検討によりいずれのγセクレターゼも基質選択性に差がないことがわかった。 「3.各基質結合γセクレターゼのAβ分子種産生の検討」C99結合γセクレターゼとNotch結合γセクレターゼに対して、産生するAβ分子種を質量分析で検討したところ、分子種に大きな違いがないことが判明した。 「4.糖鎖付加変異細胞によるγセクレターゼの基質選択性の変化の検討」CHO細胞の糖鎖付加変異細胞Lec-1とLec-2について、γセクレターゼの直接的な基質のC99とNotchを導入して、AβとNotchβ(Nβ)の産生を検討したところ、Lec-1においてNβよりもAβの産生が有意に低下していることがわかった。また、これらの細胞の膜フラクションをCHAPSOにより可溶化し可溶化γセクレターゼにおいて検討すると、細胞レベルと同様にLec-1においてNβよりもAβの産生が有意に低下していることがわかった。Lec-2ではこのような現象がみられなかったので、Lec-1にC99に選択性を欠く糖鎖が欠乏していると考えられる。いずれにせよ、この結果は糖鎖がγセクレターゼの基質選択性に何らかの影響を与えていることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定してすべての実験を行う事ができたため。実験1-3は当初の予想とは異なった結果であったが事実確認することができ、実験4に円滑に移行できた。 また、C99基質調製時にC99内のGXXXGモチーフに注目し、このモチーフは基質二量体よりも切断部位決定に影響を与えることを示すことができた。この結果は、Journal of Neuchochemistry vol.140 955-962 (2017)に発表した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、γセクレターゼの糖鎖修飾と基質選択性の関連を検討するために、グリコシダーゼによる糖鎖除去後のγセクレターゼ活性や基質選択性、分子種産生について検討する。糖鎖によるこれらの関与が確定できれば、NicastrinのN結合型糖鎖結合部位を変異させたγセクレターゼを構成させて、活性等の変化を検討する予定である。
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