昨年までに報告したオートファジーマウスと同様に、個体レベルでの観察が可能な、誘導型マイトファジープローブ発現ノックインマウスを用いた、各器官でのタモキシフェンによるプローブ発現状況を解析した。 解析の結果、脳以外の器官では望むとおりのタモキシフェンに制御された発現誘導が確認され、プローブによるマイトファジーの可視化、解析が可能であることが示されたが、残念ながら脳ではタモキシフェンによる誘導前からプローブが発現しており、すでにシグナルを蓄積してしまっている(このプローブはシグナル蓄積型であるため、観察するまでのマイトファジーシグナルを溜め込んでしまう)ので解析には不向きであることが示唆された。この原因についてであるが、今回使用したB6.Cg-Tg(UBC-Cre_ERT2)Ejb_jマウスのERT2-Creが器官特異的に核に漏れ出し、Creを切断してプローブの発現をONにしてしまっている可能性が考えられる。週齢や、飼育方法などの検討を行ったが、根本的な改善は見られなかったので、脳に関してはこのマウスでの観察は断念し、他の誘導系(テトラサイクリン誘導システム、他のERT2-Creマウスとの掛け合わせなど)を利用したマウスの作製を検討している。 このマウスで解析可能な脳以外の器官に関してはこのまま観察を進め、各器官でのマイトファジー検出能を確認した後に、能以外の器官でのマイトファジー研究を行う研究室と共同研究を進める予定である。
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