研究実績の概要 |
正常マウス・ラットならびに遺伝子改変マウスより自発的不死化シュワン細胞株を樹立し、諸種ニューロパチーの病態解明・治療法開発を進めている。 1. 正常Fischerラット由来シュワン細胞株IFRS1と成熟ラット後根神経節 (DRG) ニューロンとの共培養系を用いて、抗不整脈薬アミオダロンによる脱髄誘導機構に酸化ストレス亢進およびオートファジー障害が関与することを明らかにした (Niimi et al., Eur J Neurosci 2016; Med Res Arch 2017; Peripheral Nerve 2017)。 2. 免疫介在性ニューロパチーや運動ニューロン疾患の病態解析モデルとして、株化運動ニューロンNSC-34とIFRS1の共培養系を確立した (Takaku et al., Histochem Cell Biol 2018)。 3. ポリオール代謝亢進を介した糖尿病性ニューロパチーの発症機構解明のため、正常およびアルドース還元酵素 (AR) 遺伝子欠損マウスよりシュワン細胞株1970C3およびIKARS1を樹立した。IKARS1では1970C3に比し、ポリオール代謝系酵素(ソルビトール脱水素酵素、ケトヘキソキナーゼ)のmRNA発現低下とともに、AR酵素機能の欠落を認めた。またアルドケト還元酵素AKR1B7, AKR1B8のmRNA発現上昇がみられたことより、AKR1B7およびAKR1B8がARの反応性アルデヒド解毒作用を代償する可能性が示唆された (Niimi et al., J Neurochem 2018)。 4. 高グルコース・ピルビン酸欠乏環境下では、正常ICRマウス由来シュワン細胞株IMS32の細胞死誘導がみられ、その機序にミトコンドリア呼吸の障害とATP産生の低下が関与する可能性が示唆された (八子他, 日本生理学会シンポジウム)。
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