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2017 年度 実施状況報告書

アストロサイトでの重炭酸イオンを介したpH調節の生理的意義について

研究課題

研究課題/領域番号 16K07068
研究機関昭和薬科大学

研究代表者

水谷 顕洋  昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (30242861)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードtripartite synapse / pH of synaptic cleft / IRBIT / NBCe1
研究実績の概要

1) 腎臓近位尿細管特異的発言NBCe1トランスジェニックマウスの作成(RPT-NBCe1マウス)
本研究を遂行する上で重要な このマウスの作成に、残念ながら難渋している。これまで、いくつかのトランスジーンを作成し、これをadenovirus をvectorとして、 in vitroで primary renal proximal tubular cellsへの発現、あるいは、in vivoで腎組織へvirusを注入しての発現をそれぞれ試みているが、そこで特異的な発現が確認できていない。原因は、トランスジーンにあると思われるので、その構築、特にプロモーターのデザインを手がけている。
2) 脳発現型NBCe1(bNBCe1)のアストロサイト突起への局在メカニズム解明
bNBCe1は、SLC4A4遺伝子産物のうち、脳に特異的に発現するsplicing variantである。脳では、bNBCe1はアストロサイトの突起に存在する。また、このsplicingの結果、bNBCe1のC末端部分は、他のsplicing variantsとは異なるアミノ酸配列を示し、そのC末は-ETTL-COOHで、いわゆる、class1のPDZ domain結合モチーフを有している。そこで、このbNBCe1に特異的な配列をGST融合タンパク質として大腸菌に発現、精製し、マウス小脳から粗抽出液中で、このGST融合タンパク質(GST-bNBCe1/C)に結合する分子の探索を行った。その結果、GST-bNBCe1/Cに結合する分子として、calcineurinとDLG1を同定し、calcineurinが、bNBCe1の細胞膜への移行に関与していることを明らかにした。その際、calcineurinの脱リン酸化酵素活性が必須であることも併せて明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

「遅れている」、とした最大の理油は、RPT-NBCe1マウスの作成がトランスジーンの作成の段階から進んでおらず、当初の計画より、1年5ヶ月ほど遅延しているからである。本研究では、腎近位尿細管に特異的に発現させるべく、同部位に特異的に発現しているNa+/Glucose transporter 2(SGLT2)のプロモーター領域を利用している。このプロモーター領域は、過去にフランスの研究チームが、Cre-recombinaseを腎近位尿細管に特異的に発現するトランスジェニックマウスを作成した際に使用された実績のあるものであり、我々も彼らの報告に倣って同promoterをクローニングし、トランスジーンの作成に用いており、デザイン的には、これが機能しない理由が現時点では不明である。

今後の研究の推進方策

今後は、RPT-NBCe1マウス作成を進めるべく、1)フランスの研究チームからSGLT2 promoter DNAを譲渡していただき、これを用いてトランスジーンを作成する。2)adnovirusによるin vitro, and/or in vivoのpre発現実験を省略して、やや冒険的ではあるが、直接トランスジェニックマウス作成を進める。 以上の方策によって、当初の目的であるトランスジェニックマウス作成を完遂させたい。
ただ、RPT-NBCe1マウスの作成だけでなく、bNBCe1に特異的に結合する分子を同定しており、これら分子との結合がbNBCe1のアストロサイト突起への局在とそこでの機能にどういう影響を及ぼすかについても研究を行っていく予定である。これら分子とbNBCe1との結合の生理的機能を明らかにすることで、我々の研究目的であるbNBCe1を介したアストロサイトんよるシナプス間隙のpH調節機構が、シナプス伝達効率、あるいはシナプス可塑性にどういった影響を及ぼすのかを明らかにできると考えている。

次年度使用額が生じた理由

前項の進捗状況を記述するところでも述べたが、本研究で作成予定のRPT-NBCe1トランスジェニックマウスの作成がトランスジーン作成の段階で滞っているの原因である。本計画では、RPT-NBCe1トランスジェニックマウスの作成は委託業者に依頼する予定で、その作成費用を計上している。しかしながら、トランスジーンの作成の時点で計画が滞りにより委託業者への発注ができていないため、その分の費用が未使用のままになっているのである。来年度は、トランジーンのin vitroの発現検証作業を省略してトランスジェニックマウス作成を依頼する予定なので、未使用学は次年度、本来の目的で使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2018 2017

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Splicing variation of Long-IRBIT determines the target selectivity of IRBIT family proteins.2017

    • 著者名/発表者名
      Kawaai K, Ando H, Satoh N, Yamada H, Ogawa N, Hirose M, Mizutani A, Bonneau B, Seki G, Mikoshiba K
    • 雑誌名

      Proc Natl Acad Sci U S A.

      巻: 114 ページ: 3921-3926

    • DOI

      10.1073/pnas.1618514114

    • 査読あり
  • [学会発表] Long-IRBIT と陰イオン交換体のpH 依存的な相互作用は、細胞移動を制御する2018

    • 著者名/発表者名
      伊藤諒、 濵田浩一、 川崎聡子、 波多野直哉、 御子柴克彦、 水谷顕洋
    • 学会等名
      第138回日本薬学会
  • [学会発表] IRBIT, an integrative regulator of intracellular Ca2+ signals and pH environment2018

    • 著者名/発表者名
      水谷顕洋
    • 学会等名
      第95回日本生理学会
    • 招待講演
  • [学会発表] 脳型NBCe1の細胞内局在に関わる結合分子の役割2017

    • 著者名/発表者名
      長谷川尚美、森滉貴、竹中遥菜、白鳥瞳、水谷顕洋
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会
  • [学会発表] Long-IRBITは陰イオン交換体の活性を調節して細胞移動を制御している。2017

    • 著者名/発表者名
      伊藤諒、濱田浩一、川崎聡子、御子柴克彦、水谷顕洋
    • 学会等名
      第40回日本分子生物学会年会2017

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公開日: 2018-12-17  

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