研究課題
本研究は神経前終末でカルシウムに応答した神経伝達物質の放出に関して、カルシウムセンサーとしての役割を担っているタンパク質であるシナプトタグミンの立体構造変化を検出することを目的としている。構造変化は蛍光で検出するため、まず生体内で機能しているシナプトタグミンに蛍光を持つ非天然アミノ酸を組み込む技術をまず確立する必要がある。これまでの本研究課題の遂行により、ゼブラフィッシュの体の中で特定のタンパク質に蛍光持つ非天然アミノ酸であるAnapを組み込む技術を確立することに成功した。次に蛍光標識を組み込んだタンパク質が機能するかどうか調べる必要がある。そのため本年度は、蛍光および機能測定の方法がすでに確立されているアフリカツメガエルの卵母細胞にアセチルコリン受容体を発現させる方法を用いて、非天然アミノ酸をアセチルコリン受容体に組み込んで、組み込んだ受容体が機能するかどうか調べ、さらに機能した際に蛍光輝度の変化が見られるかどうか調べた。様々な場所にそれぞれ非天然アミノ酸を組み込んだアセチルコリン受容体をアフリカツメガエルの卵母細胞に発現させ一つ一つ調べたところ、多くの場合タンパク質が機能しているにもかかわらず蛍光輝度変化が観察されなかった。これまでの計測で蛍光輝度変化が観察されたものはアセチルコリン受容体の細胞外ドメインのある一つのアミノ酸を非天然アミノ酸に置換した場合のみであり、非蛍光アミノ酸を導入する部位を前もって入念に検討しておく必要があることが分かった。
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Proc Natl Acad Sci USA
巻: 116 ページ: 26020, 26028
10.1073/pnas.1916867116.