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2017 年度 実施状況報告書

家族性ALSタイプ6におけるTLSリン酸化シグナル特異的なRNA代謝の分子機構

研究課題

研究課題/領域番号 16K07074
研究機関広島文教女子大学

研究代表者

藤井 律子  広島文教女子大学, 人間科学部, 教授 (90342716)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードALSタイプ6 / RNA代謝 / TLS/FUS / エクソソーム / リン酸化シグナル
研究実績の概要

本研究は、家族性ALSタイプ6(以下、ALS6)において、RNA結合たんぱく質であるTLS/FUSを介したRNA代謝が阻害されることに着目し、脊髄運動ニューロン内の正常なRNA代謝に関与するTLS/FUSの特異的リン酸化シグナルを同定することにより、RNA代謝異常がALS6を発症するに至るまでのクリテイカルな過程を明らかにしようとするものである。平成28年度は、脊髄運動ニューロンモデル細胞NSC-34を用いて行った実験により、NSC-34細胞の過興奮時に、チロシンリン酸化を受けたTLS/FUSがRNAエクソソームの構成たんぱく質として放出されることを見出した。平成29年度は、さらにTLS/FUSを含むRNAエクソソームの放出が過興奮依存的な細胞内リン酸化シグナルで制御される可能性を検討し、以下2つの新しい知見を得ることができた。
1)TLS/FUSを含むRNAエクソソームの放出は、Srcファミリーチロシンキナーゼ活性による制御を受ける:NSC-34細胞では、定常時においてもCD9エクソソーム表面抗原陽性のRNAエクソソームが放出されるが、過興奮時にはTLS/FUSを含むRNAエクソソームの放出量が定常時の約3倍に上昇する。また、Srcファミリーチロシンキナーゼの阻害剤PP1存在下ではCD9陽性のRNAエクソソームの放出パターンは変化しないが、TLS/FUSを含むRNAエクソソームの放出が特異的に阻害される。一方、PKCやcAMP依存性プロテインキナーゼの阻害剤はTLS/FUSを含むRNAエクソソームの放出には影響しないことが明らかとなった。
2)脊髄運動ニューロンモデル細胞は、Piwi-interacting RNA(piRNA)を発現する:NSC-34細胞の過興奮時にエクソソームとして放出されるRNAの一つとしてpiRNAを同定した。すでに感覚ニューロンの軸索再生にpiRNAが関与するとの報告(2018年)があるが、今回われわれが得た結果により、運動ニューロンの神経変性初期においても特定のpiRNAが関与する可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

当該年度中にNSC-34細胞を用いて得られた実験結果をin vivoで検証する予定であったが、検証に用いるマウス疾患モデルが入手困難となったことと重なり、マウス脳脊髄液の解析系の準備等も大幅に遅れている。

今後の研究の推進方策

マウスモデル等を用いたin vivo解析系の準備が頓挫したため、平成30年度の前半はNSC-34細胞を用いた薬理学的実験により、TLS/FUSリン酸化依存的なRNAエクソソームの放出に関与する分子とリン酸化シグナルを同定することに注力したい。また、脊髄運動ニューロンにおけるPiwi-interacting RNAの発現意義と標的分子を明らかしたい。

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公開日: 2018-12-17  

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