研究課題
将来的なヒト遺伝子・細胞治療への応用を目標に,カニクイザルに免疫寛容を誘導し,免疫抑制剤を用いずに組換えAAVの骨格筋での発現を持続させる新規技術を開発するとともにその安全性と発現効率の改善を検討することを目的とした研究を継続した.免疫寛容の誘導法として,ヒト歯髄類似細胞を使用した.ヒト歯髄類似細胞は間葉系幹細胞の一種であり,間葉系幹細胞はナイーブT細胞から制御性T細胞を誘導することで免疫寛容を誘導することが明らかとなっている.ヒト歯髄類似細胞を免疫原との同時投与により,有効な免疫寛容を得ることができる.経口減感作と異なり,確実に投与できる点も利点であり,サルへの投与は本研究が最初である.今年度は国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所霊長類医科学研究センター共同利用施設の研究課題としても採択され,順調に進捗している.今年度はカニクイザル1頭に対し,歯髄類似細胞とAAV9-CMV-LacZを経静脈投与し,その7日後に再度歯髄類似細胞を投与し,翌日にAAV9-CMV-LacZを筋肉内注射した.歯髄類似細胞は共同研究をしている国内製薬会社から供与を受けた.AAV9-CMV-LacZ投与量は,これまでにサルで検討した結果から1X10*13vg/muscleとした.投与は左右の上腕二頭筋,前脛骨筋の頚4か所に行った.LacZ遺伝子発現ベクター投与群12頭,コントロール(ベクター非投与)1頭を使用した.掲示的に末梢血リンパ球を採取し,抗原暴露後のインターフェロンγ産生能の元弱を確認することにより免疫寛容の誘導を確認した.導入8,16,および24週後に筋組織の生検をおこない,42週後に安楽殺後のサンプリングをそれぞれ行った.同時に各時点で採血も実施し,安全性の確認を行った.現在,LacZの発現をウエスタンブロット法及び免疫組織化学染色法を用いて解析中である.
すべて 2018
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)
Mol Ther Methods Clin Dev
巻: 11 ページ: 180-190
10.1016/j.omtm.2018.10.015. eCollection 2018 Dec 14.