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2016 年度 実施状況報告書

超高効率ノックインシステムの開発

研究課題

研究課題/領域番号 16K07085
研究機関東京医科歯科大学

研究代表者

相田 知海  東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50540481)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードCRISPR / PITCh / MMEJ / ノックイン / Exo1
研究実績の概要

CRISPRを用いた長い遺伝子カセットのノックインは、特にマウス等の生物個体では依然困難である。ノックインには通常、相同組換え機構が用いられるが、その頻度は一般に極めて低い。平成28年度は、マウス受精卵でのDNA修復機構のおよそ半数を占めるマイクロホモロジー媒介末端結合(MMEJ)を応用したノックイン方法を開発した。この高頻度のMMEJに基づくノックインシステム・PITChは、受精卵内でCRISPRによりドナーDNAを切断して損傷修復反応を誘導すると共に、遺伝子カセット両末端にゲノムDNAに相同な40塩基マイクロホモロジーを付加して正確なノックインを促進する。現在困難とされる5000塩基の遺伝子のノックインをモデルとして、PITChによるノックインマウス作製を行ったところ、およそ10%の効率でノックインマウスを得ることに成功した。しかしながらその効率は、世界的な平均値に比べて相当高いものの、申請者の従来法に比べると1/3程度であった。そこで培養細胞系でのスクリーニング系を構築・探索し、多くのMMEJエンハンサーを同定、MMEJの分子機構の全貌を明らかした。これらのMMEJエンハンサーのうち、Exo1に着目してその後の実験を行なった。Exo1の過剰発現により、ヒト培養細胞でのノックイン効率は中程度に高まった。次にExo1を加えて、上記の5000塩基の遺伝子のノックインマウス作製を行ったところ、そのノックイン効率を、30%を越えるまでに高まることに成功した。さらにこの手法を用いて、現在最も困難とされるfloxマウスの作製を行ったところ、同様に30%を越えるノックイン効率でfloxマウスを得ることに成功した。以上から、Exo1で増強したMMEJに基づくPITCh法により、ヒト細胞及びマウス受精卵で高効率なノックインが実現された。本研究成果は論文発表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

研究は順調に進展している。特にMMEJエンハンサー分子群の同定と、これを用いたPITCh法の高効率化、そしてそのノックインマウス作製への応用が実現し、論文発表に至った。

今後の研究の推進方策

Exo1増強PITCh法は高効率ノックインを実現したが、その効率はマウスでは依然30%強であり、さらなる高効率化が必要である。MMEJの最適化、CRISPR活性化の最大化を進め、これらの組み合わせにより高効率化を実現していく。

次年度使用額が生じた理由

研究の進展により平成28年度の計画を効率的に完了したため、次年度使用額が生じた。

次年度使用額の使用計画

平成29年度の研究計画促進のため、次年度使用額はそれら研究の物品費に用いる。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2016

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)

  • [雑誌論文] Gene cassette knock-in in mammalian cells and zygotes by enhanced MMEJ2016

    • 著者名/発表者名
      Tomomi Aida, Shota Nakade, Tetsushi Sakuma, Yayoi Izu, Ayu Oishi, Keiji Mochida, Harumi Ishikubo, Takako Usami, Hidenori Aizawa, Takashi Yamamoto, Kohichi Tanaka
    • 雑誌名

      BMC Genomics

      巻: 17 ページ: 979

    • DOI

      10.1186/s12864-016-3331-9

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり

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公開日: 2018-01-16  

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