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2016 年度 実施状況報告書

次世代ヒト化マウスを用いたヒトアレルギー性喘息モデルの確立と創薬への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16K07103
研究機関公益財団法人実験動物中央研究所

研究代表者

伊藤 亮治  公益財団法人実験動物中央研究所, 実験動物研究部, 研究員 (60425436)

研究期間 (年度) 2016-04-01 – 2019-03-31
キーワードヒト化マウス / 喘息
研究実績の概要

今年度は、NOG IL-3/GM-CSF TgマウスおよびNOG IL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスへ臍帯血由来ヒト造血幹細胞を移植したヒト免疫系マウスを作製し、これらヒト化Tgマウスの骨髄、末梢血、脾臓を採取し、ヒトCD45陽性細胞を指標としたヒト白血球キメラ率の測定およびヒトリンパ球系マーカー、ミエロイド系マーカーを用いた各細胞系列への分化能をフローサイトメトリーにて解析した。その結果、いずれのTgマウスにおいてもヒトマスト細胞、顆粒球の亢進を認め、特にIL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスでは、好酸球分化が顕著に亢進した。次にこれらヒト化Tgマウスを用いてハウスダストマイト(HDM)投与による喘息モデルの樹立を試みた。HDM気管内投与後に喘息病態であるリンパ球、好酸球の肺組織への浸潤を調べたところ、nonTgマウスに比べてIL-3/GM-CSF TgマウスおよびIL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスにおいて若干の亢進は認められたが、有意な差は見られなかった。一方で、喘息病態のインデューサーとしてヒトIL-33サイトカインを用い、同様の処置により喘息病態の誘導を試みたところ、IL-3/GM-CSF Tgマウスにおいて肺組織へのリンパ球、マスト細胞の浸潤に加え、ヒトIL-13の亢進、ゴブレット細胞過形成やペリオスチンの亢進といった喘息患者で見られる病態を再現することに成功した。また、IL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスでは上記の病態に加えて顕著な好酸球浸潤を認めたことから、ヒト好酸球性喘息の病態が再現された。本モデルは、喘息治療薬の前臨床モデルとして利用出来る可能性を秘めており、次年度から喘息治療薬である抗IL-13抗体投与による薬効評価解析を実施する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初はHDMの気管内投与による喘息誘導モデルマウスの作製を計画していたが、ヒト化Tgマウスで顕著な病態は観察されなかった。しかしながら、ヒトIL-33による喘息誘導には成功し、喘息患者で観察されるいくつかの病態を再現することが出来たため、計画はおおむね順調に進行していると考えられた。

今後の研究の推進方策

今後は、IL-33を投与したヒト喘息モデルマウスを用いて、喘息治療薬の評価系として利用出来るか検討する。具体的には、重傷喘息患者に用いられる抗ヒトIL-13抗体の投与により症状が緩和されるか、あるいは副作用について解析することにより、前臨床モデルとしての適性評価を行う。

次年度使用額が生じた理由

高速冷却遠心機を計上していたが、代替品の使用が可能となったことから購入しなかった。
そのため、物品費使用額が当初計画から削減された。

次年度使用額の使用計画

繰り越した費用については、次年度以降にかかる試薬類や受託解析などに使用する計画である。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (3件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A Novel Xenogeneic Graft-Versus-Host Disease Model for Investigating the Pathological Role of Human CD4+ or CD8+ T Cells Using Immunodeficient NOG Mice.2017

    • 著者名/発表者名
      Ito R, Katano I, Kawai K, Yagoto M, Takahashi T, Ka Y, Ogura T, Takahashi R, Ito M.
    • 雑誌名

      Am J Transplant.

      巻: 印刷中 ページ: 印刷中

    • DOI

      10.1111/ajt.14116.

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Generation of a Nonhuman Primate Model of Severe Combined Immunodeficiency Using Highly Efficient Genome Editing.2016

    • 著者名/発表者名
      Sato K, Oiwa R, Kumita W, Henry R, Sakuma T, Ito R, Nozu R, Inoue T, Katano I, Sato K, Okahara N, Okahara J, Shimizu Y, Yamamoto M, Hanazawa K, Kawakami T, Kametani Y, Suzuki R, Takahashi T, Weinstein EJ, Yamamoto T, Sakakibara Y, Habu S, Hata J, Okano H, Sasaki E.
    • 雑誌名

      Cell Stem Cell.

      巻: 19 ページ: 127-138

    • DOI

      10.1016/j.stem.2016.06.003.

    • 査読あり / 国際共著
  • [学会発表] A novel xenogeneic graft-versus-host disease model for investigating the pathological role of human CD4+ or CD8+ T cells using immunodeficient NOG mice2016

    • 著者名/発表者名
      伊藤亮治
    • 学会等名
      日本免疫学会
    • 発表場所
      沖縄
    • 年月日
      2016-12-05 – 2016-12-07
  • [学会発表] NOG hIL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスを用いたIL-33誘導型ヒト喘息モデルの開発2016

    • 著者名/発表者名
      伊藤亮治
    • 学会等名
      アレルギー好酸球研究会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2016-10-22 – 2016-10-22
  • [学会発表] NOG hIL-3/GM-CSF/IL-5 Tgマウスを用いたIL-33誘導型ヒト喘息モデルの開発2016

    • 著者名/発表者名
      伊藤亮治
    • 学会等名
      日本実験動物学会
    • 発表場所
      川崎
    • 年月日
      2016-05-17 – 2016-05-20
  • [備考]

    • URL

      https://www.ciea.or.jp

URL: 

公開日: 2018-01-16  

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